WWW関連技術の標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)は,Webサービス向けプロトコル仕様「SOAP Version 1.2」をW3C勧告(Recommendation)として承認した。W3Cが米国時間6月24日に明らかにしたもの。同仕様は,「SOAP Version 1.2 Primer」「SOAP Version 1.2 Messaging Framework」「SOAP Version 1.2 Adjuncts」「SOAP Version 1.2 Specification Assertions and Test Collection」という4文書で構成する。

 W3CディレクタのTim Berners-Lee氏は,Webサービスが相互接続性のあるアプリケーションとして成功できるのは,(SOAPという)技術的基盤が堅牢で,共有され,期待通りの性能を達成できる場合だけ」と述べる。「Webサービスの利用者と開発者はいずれも,さまざまなアプリケーションやWWW技術を強化するためのXMLベースWebサービス向けプロトコルを必要としている。このSOAP Version 1.2が,まさに求めているものだ」(同氏)

 W3Cによると,「SOAP Version 1.2 では,SOAP 1.1仕様における不明確な部分を排除し,洗練した処理モデルを記述している」という。さらに,「より優れたアプリケーションを記述できるようにするため,エラー・メッセージも改善した」とする。

 SOAP Version 1.2の各文書の概要は以下の通り。

Primer
 アプリケーション設計者など向けの手引書。例を用い,SOAP Version 1.2の機能を解説する。なお同仕様のフレームワークは,以下のMessaging FrameworkとAdjunctsという2つの部分に分かれる。

Messaging Framework
 SOAPメッセージを処理するためのルールである処理モデル,SOAPエンベロープ内外で拡張機能を利用するための拡張性フレームワーク,SOAPメッセージの構成ルールであるメッセージ構成,HTTPなどの下層プロトコルでのSOAPメッセージ交換方法を指定するプロトコル・バインディング・フレームワークについて記述する。

Adjuncts
 遠隔手続き呼出し(RPC)の記述,SOAPメッセージのエンコーディング,SOAPの機能とバインディングの記述の3項目に関するルールを定める。また,WWWの仕組みを使ってSOAPメッセージを交換するために,SOAPをHTTPにバインドする標準プロトコル・バインド方法を説明する。

Specification Assertions and Test Collection
 SOAPプロセサを実装する作業を支援するための文書。Messaging FrameworkとAdjunctsの記述内容から得られる一連のテスト・データを提供する。このデータにより,SOAP仕様の実装状況や,別の実装と相互接続可能な設計かどうかを確認できる。

 なおSOAP 1.2の策定を担当したW3C XML Protocol Working Groupの主なメンバー企業は以下の通り。

 米AT&T,米BEA Systems,キヤノン,DaimlerChrysler Research and Technology社,スウェーデンEricsson,富士通,米IBM,アイルランドIONA Technologies,米Macromedia,松下電器産業,米Microsoft,米Oracle,ドイツSAP AG,米SeeBeyond Technology,Software AG社,米Sun Microsystems,Systinet社。

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