WWW関連技術の標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)が米国時間10月15日に,「Extensible Markup Language(XML)1.1」をW3C勧告候補(Candidate Recommendation)として発表した。

 XMLは,構造化した情報を表現するためのデータ形式仕様。テキスト・データにタグを使ってマーク付けすることで,構造化情報を表現する。ユーザーが使用するタグなどを自由に定義できるので,特定用途に向けた新たな記述用言語体系の構築に利用できる。たとえば,数学向けの数式記述言語MathMLや化学向けの分子構造記述言語CML,Webサービスで利用するUDDI/WSDL/SOAPといった仕様は,いずれもXML仕様をベースに定義している。ちなみに,現在利用されているXMLのバージョンは1.0である。

 XML 1.1では,新たにUnicodeのバージョン2.0よりも後に追加された文字を,タグ(要素名)や属性名といったコンテンツ以外の要素(正確には「Name」で規定されるXML名)で利用可能としている。XML 1.0策定当時,Unicodeのバージョンは2.0であった。現在は3.1まで上がり,多くの文字が新たに追加されている。XMLではこれらの文字をXML名として使えない状態にある。XML 1.1ではName定義を変更することで,Unicode 3.1の文字も含め,今後追加される文字をXML名として使用できるようになる。

 さらにXML 1.1では,米IBMのメインフレームで仕様されている改行文字(#x85:16進数の85)とUnicodeの改行文字(#x2028)を,改行文字として扱えるようにする。これまでは,これら改行文字の入ったデータをプレーン・テキストとして処理できなかった。XML 1.1により,この問題を解決できる。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,XML 1.1についてW3C代表のJanet Daly氏が以下のようにコメントしているという。

 「XML 1.1は現行バージョンのUnicodeに対応し,国際化サポートを改善している。その上,Unicodeの今後の改定にも対応可能なよう仕様を変更したので,Unicodeの新版が出るたびに(XML名の)書き直しや再公式化をする必要がなくなった。このことは,特に西欧文字セットをネイティブ文字セットとして使用しない地域で歓迎されるだろう」(Janet Daly氏)

 なおW3Cは,XML 1.1勧告候補に対する意見を2003年2月14日まで受け付ける。

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[W3Cの発表資料サイト]