米Oracleが米国時間6月9日に,米PeopleSoftの株式の公開買付を開始した。また,公開買付開始を通知するPeopleSoft社宛ての書簡の内容も明らかにした。

 書簡は,Oracle社会長兼CEOのLawrence J. Ellison氏からPeopleSoft社CEOのCraig Conway氏に送ったもの。主な内容は以下の通り。

 「今朝,当社はPeopleSoft社株式の公開買付を開始した。これが,PeopleSoft社の株主に十分正当な価値を与え,PeopleSoft社顧客に素晴らしい未来をもたらすと信じている。また,当社の買収提案について,Conway氏およびPeopleSoft社役員会と話し合いの機会を持つことを望んでいる。

 当社を提訴する意向があるとのPeopleSoft社のプレス・リリース,ならびに通知を受け取ったが,そのような行為は,PeopleSoft社自身を不利な立場に追い込み,当社の提案がもたらす利点と恩恵を逃すことになるだろう。PeopleSoft社は,株主への信用義務として,誠意を持って公平な検討を行うべきだ。ただし,最終的に決断を下すのは,つまらない訴訟ではなく,PeopleSoft社の株主である」(Ellison氏)

 Oracle社は6月6日,PeopleSoft社の株式を1株につき16ドル(総額は約51億ドル)の現金で買い取る計画を発表した(Oracle社のプレス・リリース)。公開買付のための現金は準備済みだという。なお,米メディアの報道(CNET News.com)によると,公開買付の期限は2003年7月7日である。

 Oracle社の買収提案を受けて,米J.D. Edward会長,社長兼CEOのBob Dutkowsky氏が,同日声明を発表した。同社とPeopleSoft社は6月2日,PeopleSoft社がJ.D. Edward社を総額17億ドルで買収することで最終合意に達したことを発表したばかりだ。

 Dutkowsky氏は,「Oracle社の敵対的買収提案は,少なくとも主要競合社を1社排斥することになる。これは,ビジネス・ソフトウエアの顧客の選択肢を著しく狭めるもので,米国と欧州の独占禁止法に抵触する可能性がある」と激しく非難した。また「Oracle社の買収計画は,当社とPeopleSoft社の合併になんら影響を及ぼさない」と付け加えた。

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