米NPD Groupは米国時間6月5日,消費者による音楽購入の実状について調査した結果を発表した。それによると,調査対象のすべての年齢層を通じて,音楽を購入する消費者がここ2年間減少し続けている。2002年第4四半期のCDの売上高は前年同期から13%減少しており,2003年第1四半期の売上高は同9%減少した。

 減少分の50%強は音楽ファイル共有サービスによる影響のようだ。しかし,音楽を購入する消費者でインターネット接続を行っているユーザーの60%は,音楽の無料ダウンロード・サービスを利用していないことが明らかになった。しかし,これらの消費者による売上高は7%も減少している。

 年齢層別にみると,36歳以上の消費者による購入が著しく低下した。その理由として,約半数が「購買意欲をそそる音楽が少なくなった」と回答している。なお,「ダウンロード・サービスを利用しているために音楽の購入が減った」と答えた割合は10%に満たない。NPD社バイス・プレジデントのRuss Crupnick氏は,「これらの年齢層がCD販売全体の45%を占めていることに注目する必要がある。今後5年にティーンや学生層の人口が増加する見込みがないため,業界は高い年齢層の消費者を対象にすえるべきだ」と指摘する。

 NPD社は,高い年齢層向けのセクションや36歳以上に対象を絞ったマーケティング,ビートルズやピンクフロイドなど,昔ながらのアーティストのリバイバル曲に注力することを勧めている。

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