「景気後退にもかかわらず,米国におけるデジタル音楽の売上高は2006年に16億ドルに達する。そのうち約63%に相当する10億ドルは,有料配信サービスが占める」。米Jupiter Media Metrixが米国時間1月15日に,オンライン音楽市場に関する調査結果を明らかにした。
Jupiter社上級アナリストのAram Sinnreich氏は,「デジタル音楽の有料配信サービスは,低迷している音楽業界を回復できるかもしれない」という。「市場に活気を取り戻すには,デジタル音楽の流動性を利用し,音楽レーベルや小売店,および技術企業の強みを考慮した方法で,流通経路をうまく混在させることが必要だ」(同氏)
■デジタル音楽有料配信サービスによる売上高予測(2001年~2006年) 年 売上高(単位:10億ドル) ------ ------------------------ 2001 $0.0 2002 $0.0 2003 $0.2 2004 $0.4 2005 $0.8 2006 $1.0 出典:Jupiter社
2003年末には,デジタル音楽製品の大半が有料配信サービスの形態をとるようになる。配信サービスが新たな製品カテゴリとして加わることで,小売企業とメディア関連企業との間で激しい競争が展開される。両者による会員獲得のための競争激化が,製品革新の原動力となり,2006年のデジタル音楽市場は16億ドル規模へと成長する。
また同社は,オンライン音楽市場が2001年の9億ドルから,2006年には55億ドル規模に拡大すると予測している。2001年7月時点で,2006年の市場規模を62億ドルと予測していたが,景気後退やオンライン音楽配信サービスの開始の遅れ,消費者による支出全般の縮小などを考慮して,下方修正を行った。
同社は,オンライン音楽市場の成長が,デジタル音楽のみならず,音楽市場全体の売上高増加に貢献するとみる。2006年には,オンライン音楽が米国音楽市場の総売上高で占める割合は,約3分の1に達すると予想している。
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