米Cisco Systemsが米国時間5月20日に,14種類の企業向けネットワーク・セキュリティ・ソリューションおよびサービスを発表した。Cisco社は「セキュリティ・サービスをIPネットワーク全体に組み込むことで高度なネットワーク防御を可能とし,あらゆるネットワークで透過的かつ管理しやすいセキュリティ機能を実現できる」と説明する。

 「ネットワークとセキュリティ・サービスを組み合わせると,大幅にパフォーマンスを向上させ,セキュリティ機能を高度化できる。さらに,将来の業務拡大に対応し,規模を効率よく安全に拡大することも可能だ」(同社)

 同社が発表したセキュリティ管理ソリューションと機能強化は以下の通り。

・Cisco IOS AutoSecure:同社のIOS Software上で1つのコマンドを発行するだけで,不必要な処理をルーターが行わないように設定できる。これにより,セキュリティのレベルを強化できるという

・Cisco Security Device Manager(SDM)version 1.0:Cisco IOS Softwareベースのセキュリティ・サービスの展開/管理を「Cisco 830」から「同3700」製品系列のアクセス・ルーターで利用可能とする。ファイアウオール,IPSec VPNサービスの設定を,ウィザードで行える

・CiscoWorks Security Information Management Solution(SIMS)version 3.1:セキュリティ・イベントの監視,複数ベンダーのセキュリティ環境の関係確認といった機能を提供する

・Cisco IP Solution Center(ISC)version 3.0 Security Technology Module:ポリシー・ベースのセキュリティ管理モジュールで,大規模なVPNやファイアウオール用の管理機能を提供する

・CiscoWorks VPN/Security Management Solution(VMS)version 2.2:同社セキュリティ・サービス向けのセキュリティ管理機能を提供する。対応製品は,「Cisco Catalyst 6500 Firewall」およびVPNサービス用モジュールなど。また,新製品の「Cisco Security Agent」にも対応する

 同社は,ハードウエアによるVPN高速化サービス・モジュール,Cisco IOS Softwareを組み込んだVPN,遠隔アクセス用VPN拡張についても発表した。これらモジュールは,企業の支社向けの「Cisco 2600XM」,ヘッドエンド向けの「Cisco 7200」製品系列,遠隔アクセスVPN集約用の「Cisco VPN 3000 Series Concentrator」といったルーターに対応する。ハードウエアで高速化したことで,「Cisco 7600」製品系列ルーターと「Cisco Catalyst 6500」製品系列スイッチでは,VPN集約時に最高14Gbps,ファイアウオール・サービス時に最高20Gbpsのスループットを提供できるという。

 ハードウエア・ベースのVPN処理高速化に加え,同社はCisco IOS SoftwareベースのVPN機能も強化したとしている。主な強化点は,IPSec-to-MPLS統合,Dynamic Multipoint VPN(DMVPN)による自己修復/負荷分散機能など。

 さらに同社は,以下に示すホスト・ベースの防御ソリューションも明らかにした。

・Cisco Security Agent:デスクトップ・パソコンやサーバー上の操作を監視し,アプリケーションとOS間に異常な動作がないか調べる。これにより,ネットワーク攻撃からサーバーなどを守る

・Cisco Access Router IDS Network ModuleおよびCisco IDS 4215 Sensor:中小企業や支店向けのIDS(侵入検知システム)装置。Cisco Access Router IDS Network Moduleは45Mbpsで,Cisco IDS 4215 Sensorは80Mbpsのスループットを保ちながら,外部からの侵入を防ぐ

 各ソリューション/サービスの詳細仕様は,Cisco社のWWWサイトに掲載している。価格と発売時期については,同社の提供する情報(PDF形式)を参照のこと。

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