米IDCは,電気/水道/ガスなど公共事業を手がける米国企業のIT支出に関する調査結果を米国時間5月8日,発表した。それによると,市場の規制緩和が不透明なことから,米国の公共事業会社は大規模なITプロジェクトの実施に踏み切れない状況が続くという。

 その一方でIDCは,「サービス運営や設備の安全を確保する目的でITセキュリティ導入の検討を継続するほか,将来競争が激しくなる市場でも企業を存続できるかどうか見極めるため,現行システムの評価を行う」と予測する。

 2002年における米国公共事業業界のIT支出額は154億ドルで,前年に比べ2.3%減少したという。「しかし2003年に再び支出額が増加する。それから5年間は毎年5.3%ずつ成長し,2007年には200億ドルに達する」(IDC)

 IDC垂直市場調査部門プログラム・マネージャのChristopher Boone氏は,「2003年に公共事業会社は,セキュリティや業務継続性といったミッション・クリティカルなITプロジェクトに対して支出する」とみる。「この業界のIT予算は2003年を通じて厳しい状態が続くはずだ。しかし,2004年以降に景気が上向くことで,支出額はその後急速に増加するだろう」(同氏)

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