自動車業界向けeマーケットプレイス「Covisint」を運営する米Covisintは,自動車業界に向けたデータ・メッセージング・ソリューションの技術コンソーシアムを発足させた。同社が米国時間5月12日に明らかにしたもの。

 「自動車業界におけるサプライ・チェーンのコミュニケーションを向上させ,高価なEDI(電子データ交換)にとって代わるソリューションを開発するのが狙い」(Covisint社)としている。

 コンソーシアムに参加するのは,DaimlerChrysler社,米Delphi,米Ford Motor,米General Motors,米Johnson Controls,米Learなど。いずれの企業も,人的資源と財政面において協力する。

 コンソーシアムで開発するソリューションは,最新のインターネット・プロトコルや,XML標準メッセージ,EDIメッセージ(EDIFACTと ASC X12)をサポートする。自動車産業の非営利団体「Automotive Industry Action Group(AIAG)」と共同で仕様を策定中である。

 Covisint社は,「2003年中にソリューションの実装を目指す」としている。Covisintを利用する企業は,新しいデータ・メッセージング・ソリューションによって,ファイアウオールを越えた電子データの送受信が行えるようになる。また現在EDIを使っていない中小企業も,顧客とサプライヤを結んだやり取りを行える。

 Covisint会長兼CEO兼社長のBruce Swift氏は,「自動車業界が連携してメッセージング・ソリューションの開発に取り組むことで,共通のプロセスを導入し,業界全体における情報のやり取りを迅速化できる。また,メッセージング・プロセスの簡易化によって,サプライ・チェーンの参加企業を増やせるほか,あらゆる企業のコスト削減に貢献する」と説明した。

 ちなみにCovisintは,自動車業界のビッグ・スリー(DaimlerChrysler社,Ford Motor社,General Motors社)や,フランスのRenault,日産自動車が2000年に共同で開設したマーケット・プレイスである。米Commerce Oneや米Oracleの電子商取引向けアプリケーションをベースとしている。

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