調査会社のeMarketer社は,企業間電子商取引市場に関する実態調査レポート「eCommerce: B2B Report」を米国時間8月3日に公開した。このレポートによると,企業が利用しているオンライン取引市場は大別して,(1)サードパーティー取引型,(2)コンソーシアム主導型,(3)特定企業が決めた独自仕様ネット型---の3つ。2000年前半にサービスを開始した745以上あるサイトのほとんどがこの3つのどれかに分類できるという。

 サードパーティー型やコンソーシアム主導型の取引が現在注目を集めてはいるが,現状では全体の93%が特定企業が定めた独自仕様のネットを使うオンライン取引。最近注目を集めているサードパーティー取引型やコンソーシアム主導型の取引には,独自仕様のサプライチェーンを構築して成功している米Dell Computerや米Wal-Martなどの有力企業にとって移行したくなるだけの優位性はまだあまりないという。

 サードパーティ取引型は,いわゆるドット・コム企業のように,企業間取引の運営を事業とするモデル。取引の当事者とは無関係で,電子商取引の仲介をする時の手数料により事業収入を得る。代表例は,医療品取引を仲介する米VentroやB2Bオークション会社の米Freemarketsなど。

 コンソーシアム主導型は複数の同業者が共同運営でオンライン取引市場を形成するモデル。主な代表例は,米Ford,米General Motors,および独Daimler Clyslerの自動車大手3社がが米CommerceOneやOracle社と共同で開設した自動車産業界向けの調達ネット(BizIT注:Covisint)で,最近はこのタイプのネット取引市場を開設する例が増えてきている。ただしこのコンソーシアム主導型は,新しい運営組織の設立や技術の統合,および独占禁止法への配慮などの問題がある程度の抑止力となっている。このためコンソーシアム主導型の取引は,情報ハブとしての機能を超えることはないとの見方もある。

 投資銀行のCredit Suisse First Bostonの調査によれば,5月中旬の時点で全世界には278社を含む60のB2Bマーケットが存在し,年間の総取引額は3兆ドル規模に達するという。

[www.businesswire.comに掲載の関連資料]