米Frost & Sullivanが米国時間4月17日に,世界の航空監視/偵察システム市場に関する調査結果を発表した。それによると,2002年における同市場の総売上高は46億ドル規模で,2008年には49億ドルに拡大するという。

 「近代的な監視/偵察システムは,危険性の高い作戦の遂行が可能で,大量のデータをリアルタイムに転送できる。その影響で,有人システムが減少しつつある。監視/偵察システムや無人システムの大きな特徴は,相対的なコストの安さに加え,貴重な人的リソースを浪費せずに済むことだ」(Frost & Sullivan社)

 同社では,「政府機関は情報収集能力のより高い最新プラットフォームを採用する傾向がある」と説明する。「情報収集,分析,文書化,伝送を行う高度通信システムの目的は,状況認識を高めること。画像や無線システムの改善が,この種のシステムの要求を満たすことに貢献している」(同社)

 Frost & Sullivan社調査アナリストのMerl Fuchs氏は,「世界的に国防支出の抑制が続くため,監視/偵察サービスはダウンサイジングを強いられる」と指摘する。

 しかし,高空に滞空可能でセンサーを複数備える無人航空機を利用すれば,有人航空機の出動率を下げ,保守要員やトレーニングに関する支出を削減できる。その結果,ダウンサイジングの影響を補えるという。「無人航空機により,核,生物,化学攻撃で汚染された地域を調査する際の人体に与えるリスクも低減できる」(同社)

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・既存の商用技術を導入することで,システム部品のコストを抑えられる

・システムのコスト低下により,監視/偵察技術が先進工業国から発展途上国に広まる

・国防予算の再編が,人件費やそのほかの無人システム関連支出の節約につながる

・平時訓練の必要性が下がり,航空機用人員を作戦行動に投入可能となる

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