XML関連の標準化団体Organization for the Advancement of Structured Information Standards(OASIS)のメンバーは,危機管理や緊急事態への準備/対応に関するXMLベースの標準仕様を開発する技術委員会「OASIS Emergency Management Technical Committee(TC)を発足させた。米国時間2月10日に明らかにしたもの。

 Emergency Management TCの目的について,OASISでは「米国の地方/州/連邦政府の司法当局や医療専門家,企業が自然災害や人的災害,緊急事態に対応する際に使う,情報交換用の標準仕様を策定する」と説明している。同TCの活動は,事件認識方法の統合,非常用地理情報システム(GIS)データのアクセス/利用,通知手段とメッセージ送信,状況報告,資産/リソース管理,監視/データ取得システム,組織の調整――などを対象にする。

 米Blue292のR. Allen Wyke氏(同氏はEmergency Management TCの委員長に就任)は,「現在のところ危機管理は,ベンダー独自のアーキテクチャやプラットフォームをベースとする多種多様なシステムで行われており,(各組織の)活動調整や情報共有には極めて負荷の高い技術的対策が必要になる」と述べる。「OASISのこの取り組みにより,相互接続性を高め情報交換をオープン化でき,最終的には人的/物的損失を小さくできるだろう」(同氏)

 また,米連邦緊急事態管理局(FEMA)CIO代表部Disaster Management E-Gov Initiativeプログラム・マネージャのMark G. Zimmerman氏は,以下のようにコメントしている。「同TCの成果物は,Federal Enterprise ArchitectureおよびDisaster Management E-Gov Initiativeに必要不可欠な要素になるだろう。この種のXML標準を開発することは,“市民を救うための情報ツールを使用する”という大統領によるManagement Agenda e-Govの精神/目的に一致する」

 なおOASISは,危機管理データ交換用のXMLベースの標準仕様を作成する組織,Emergency XML(EM-XML)Consortiumから支援を受ける。

 Emergency Management TCへの参加を表明している主な企業は以下の通り。Blue292社,米Boeing,米IBM,米National Center for Crisis and Continuity Coordination(NC4),米Oracle。

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