FCC(連邦通信委員会)がまもなく新たな法規制を施行する。これが通信事業者と携帯端末メーカの頭を悩ませていると,米Cahners In-Stat Groupが報告書「Ready Or Not, Mobile Location Technology Is Here!」で発表した。

 携帯電話の普及により既存の緊急通報システムが現在パンク状態にある。この問題を解決するため,FCCが緊急通報時における位置情報サービスの提供を通信事業者と携帯端末メーカに求めている。

 これは発信者の位置情報を自動的に受信側の緊急通報システムで探知できるようにするというもの。FCCはこのサービスの実施計画の第2段階「Phase II E9-1-1」をまもなく始める。これによる通信事業者や携帯電話メーカーに与える影響は大きい,とCahners In-Stat Groupは分析している。

 Phase II計画のもと,通信事業者と携帯電話メーカーはこの要求の実現に向けてネットワーク技術で対処するか,端末側つまり携帯電話機で対処するかのどちらかを選ぶことになる。位置情報の精度がPhase IIが要求する特定の水準に達していればよいわけである。

 ネットワーク技術を用いる場合は,通信事業者がネットワーク機器の追加などを行って,すでにユーザーが利用している携帯電話機に対応する必要がある。

 携帯電話機による対処の場合は,ネットワーク設備の変更が最小限ですむものの,GPS機能を備えた新しい携帯電話機を急速に普及させなければならない。Phase IIでは,今年中に新機能を搭載した携帯電話機を市場に投入しなければならないほか,2005年末までに95%のユーザーに対応した携帯電話機を普及させなければならない。GPS電話機は製造コストが高くつくため,利益の減少を好まないメーカは二の足を踏んでいるという。

 ただしサービス実施により,最終的には全員にメリットがあるとIn-Stat社は述べている。「通信事業者は新たな収入源を確保できる。携帯電話機メーカーは新機種が売れる。そしてユーザーの命も助かる」(同社)。

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