米レコード協会(RIAA:Recording Industry Association of America),ソフトウエア業界団体のBusiness Software Alliance(BSA),Computer Systems Policy Project(CSPP)が,デジタル・コンテンツの海賊行為を撲滅する活動について基本方針を合意した。RIAAなどが米国時間1月14日に明らかにしたもの。

 これまでレコード業界とハイテク業界は,立場の違いなどからデジタル著作権管理(DRM)技術を巡り対立していた(関連記事)。そうしたことから,各団体は「合意できたことは画期的」と評価している。

 RIAA,BSA,CSPPは第108回米国議会に向け,政府への働きかけを行うため,7項目からなる基本方針を共同策定した。各団体が作成した文書では,海賊行為の解決に向け活動するとともに,デジタル化を受け入れる方法を検討し,消費者の期待に応えるとしている。

 具体的には,海賊行為に対する消費者の認識向上,コンテンツ製作者が資産保護技術を使用する際の共通ガイドライン策定で協力する。さらに,「政府の技術関連組織の指示に従って問題解決を図ることは,消費者,レコード会社,技術業界の長期的な利益を考えた場合,最良の方法ではない」(RIAA)という点でも合意したという。

 「いかに企業が消費者の期待を満足させられるかが,ビジネスを判断する条件である。こうした判断は市場の力学を考慮して下すべきであり,法律や規制でなされてはいけない」(RIAA)

 各団体は,合意した基本方針に従った活動を直ちに開始するという。

 RIAAのメンバーには,米BMG,英EMI Recorded Music,米Sony Music Entertainment,米Universal Music Group,米Warner Music Groupの5大レコード会社が入っている。また,BSAには米Adobe Systems,米Apple Computer,米Microsoftが,CSPPには米Motorola,米Unisysが加入している。米Dell Computer,米Hewlett-Packard,米IBM,米IntelなどBSAとCSPPの両方に参加している企業もある。

 なお米メディアの報道(CNET News.com)によると,映画業界の団体であるアメリカ映画協会(MPAA:Motion Picture Association of America)はこの合意に関係していないという。

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