ファイル交換サービス「Kazaa」「MusicCity」「Grokster」の著作権侵害問題を巡る裁判の審問が,米国時間12月2日に行われる。米音楽出版社協会(NMPA:National Music Publishers' Association)が11月29日に明らかにしたもの。審問では,Lamont Dozier氏やMike Stoller氏などの著名な作詞作曲家が証言台に立つという。

 Kazaa,MusicCity,Groksterを運営する3社は,2000年半ばにオンライン音楽配信サービスを展開し,著作権使用料をいっさい払わずに数十億におよぶ音楽ファイルをダウンロード配信したとして,著作権侵害に問われている。

 「作詞作曲家と音楽出版社は被告に関する調査に取り組み,その結果この秋に,略式裁判(summary judgment)の申し立てを行った。この略式裁判で被告の著作権侵害責任を決定的に確立する意向だ」(NMPA)

 略式裁判の申し立てでは,主に次の責任を追及している。(1)被告はユーザーの著作権侵害行為を認識し,その行為を促す材料を提供したため,“著作権の寄与侵害者”としての責任がある。(2)被告は著作権侵害行為を監視する権利と能力を持っており,またこのような行為に直接的経済的な利益を有しているため“著作権の代位侵害者”としての責任がある。

 Dozier氏は「作曲家やアーティストの生計が奪われたと強く感じている。そのため,私と同じ著作権所有者を代表してこの裁判に関わることを決心した。しかし,裁判だけでは著作権侵害問題を解決できない。ユーザーが『Emusic』『Full Audio』『Listen.com』『Streamwaves』といったライセンス・ベースの音楽配信サービス・サイトを利用することにより,ユーザーの大好きな音楽の作詞作曲家が適切な報酬を受けられるのだ」と述べた。

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