米RealNetworksは家電メーカーやコンテンツ所有者向けのデジタル著作権管理プラットフォーム「Helix DRM」を米国時間1月9日,発表した。

 「Helix DRMには対応可能なメディア形式の制限がなく,保護された状態のメディアをパソコン,家庭用アプライアンス,モバイル端末に配信する際に利用できる」(RealNetworks社)

 RealNetworks社創設者兼CEOのRob Glaser氏は,「今日まで,コンテンツのデジタル配信の安全を確保する方法は混乱した状態にあった」と述べる。

 「家電メーカーは,サポートしたいセキュリティ形式ごとに新しいメディア・プレーヤとDRMを導入せざるを得なかった。一方,コンテンツ所有者にとっては,消費者の持つセキュリティ対応機器にコンテンツを配信する際の明確な手法が存在していない。Helix DRMがこうした障壁を打ち破ることで,消費者はデジタル・コンテンツを家庭や外出先で合法的に利用できるようになるだろう」(同氏)

 Helix DRMでは,「native support(Helix DRM自体によるサポート)」と「transfer to secure memory(著作権保護機能付きメモリーへの転送)」と呼ぶ2つのモデルを提供することで,さまざまな家電製品で複数のセキュリティ形式を扱えるようにする。各モデルの内容は以下の通り。

・native supportモデル:家電メーカーはHelix DRMクライアントとHelix DNA Clientを機器に組み込むことで,native support機能を導入する。同機能に対応した機器は,インターネット上の映画/音楽提供サービスなどが運営するHelix DRMライセンス・サーバーを利用し,保護された状態のメディアに直接アクセスできる。RealNetworks社は,メーカーがHelix DRM互換機器を開発できるようにするため,必要な情報を開示するという。また,Helix DRMクライアントのバイナリ版をライセンス供給する予定もある。

・transfer to secure memoryモデル:著作権保護機能付きメモリー・フォーマットに対応させることで,パソコンやRealOne Playerなどnaitive supportに対応した機器からコンテンツを安全に転送可能とする。SD(Secure Digital)メモリー・カードなどのコピー保護機能付き書き込み可能メディア(CPRM)技術を,この方法で利用できるようにする。

 同社は,Helix DRMプラットフォームをモバイル通信の業界団体Open Mobile Allianceの関連標準仕様に対応させ,モバイル機器の相互接続性をさらに高めることを計画している。

 なお,現在利用可能なHelix DRMはWindowsパソコン用のベータ版で,対応マルチメディア形式はRealAudio,RealVideo,MP3。家電製品向けのものは開発中という。MPEG-4ビデオ/ファイル形式,H.263ビデオ,AACオーディオ,Narrowband AMRオーティオには,2003年第2四半期にリリース予定の最終版で対応する。またSDメモリー・カードに転送することによるコンテンツ保護機能への対応も,2003年第2四半期になると見込む。

 また同社は同日,米Sony Pictures Digital Entertainment,米Starz On Demand,Triggerstreet.com社,英EMI Recorded MusicなどがHelix DRMを採用することも明らかにした。

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