米Allied Business Intelligence(ABI)は米国時間12月10日に,「GaAs(ガリウム・ヒ素)デバイスを使った無線ハンドセットが増加している」,などとする調査結果を発表した。

 GaAsデバイスとは,従来のシリコンICではなくGaAs ICを搭載したデバイスである。携帯電話機市場では電源モジュール,パワー・アンプ,送受信スイッチなどに広く利用されている。

 GaAs IC搭載の電源モジュールは効率性と直線性に優れているため,価格帯が低いハンドセットでの利用も進んでいる。ハンドセット向け電源モジュールの出荷量は,2002年末の3億1400万個から,2007年末には6億7500万個へと増加する見通しだ。

 電源モジュールの単価が下がり,2007年までに1ドルを切ることが予想される。しかし,RF(高周波)コンポーネントの統合が進むにつれ,低価格化にブレーキがかかる。ハンドセット向けRFコンポーネントはいずれ,一つのモジュールに完全に統合されるという。

 「市場では,合併による企業間の力関係の変化,低価格化,需要の冷え込みなどが起こり,無線ハンドセットやハンドセット電源モジュールでのGaAsデバイス利用が一層増える」と,ABI社上級アナリストのEdward Rerisi氏は説明した。「ハンドセット向け電源モジュールの需要は過去1年間で飛躍的に伸びており,2002年は2ケタの成長率に達する見込みである」(同氏)

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