米In-Stat/MDRは米国時間10月22日に,組み込み向けプロセサ市場の今後の展望について調査した結果を発表した。2001年は売上高が33%以上も減少するなど市場の見通しは暗かったが,2002年はASIC(特定用途向けIC)が安定した成長をみせ,2003年には通常レベルまで回復する。また2001年から2006年にかけて市場は年平均17.3%で成長し,2006年には86億2860万ドル規模に達する見通しである。

 顧客の要望に応じて組み込むカスタム仕様のマイクロプロセサは,ベンダーにとってRAMに次いで2番目に大きな収益源である。組み込み向けマイクロプロセサは通常のプロセサとは異なり,半導体の設計資産(IP:intellectual property)として見なされる。現在,さまざまなベンダーによる半導体IPが,ASSP(特定用途向け汎用LSI)などに実装されている。In-Stat/MDR社上級アナリストのJerry Worchel氏は,「組み込み向けプロセサ技術は,次世代製品の技術開発において最も重要」と指摘している。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・組み込み用途のプロセサ・コアとして最も採用されているのは英ARMのアーキテクチャである。その他に主要なアーキテクチャとしてはMIPS,ARC,PowerPCなどが挙げられる。PowerPCの売上高は,2006年まで最も急速に増加するとみる。

・2006年までは,組み込み向けプロセサの売上高の3/4を通信分野が創出する。

・地域別にみた場合,米大陸(北米と中南米)と欧州における組み込み向けプロセサの消費が最も大きいい。2006年までは,両市場における売上高が全体の約70%を占める。

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