米GartnerのDataquestが英国時間6月11日に,世界の半導体IP(intellectual property)市場に関する調査結果を発表した。それによると,売上高は6億8900万ドルで,1999年の4億9200万ドルから40%成長したという。

 半導体IPは電子回路の機能ブロック(メガセルなどとも言われる)の設計データをライブラリ化したもの。機能ブロックには,カウンタやマルチプレクサのような小規模のものから,マイクロプロセサやDSP(Digital Signal Processor)といった規模の大きいもの,メモリなどがある。

 2000年におけるベンダのトップ3は英ARM,米MIPS Technologies,米Rambus。3社で合計40%の市場シェアを占めた。

 「成功の見通しがつきにくいことがこの市場の成長を妨げている。重要な技術を持つサプライヤが市場を去る可能性があるためだ。もうした問題が解決するまでにはしばらく時間がかかるだろう」(Dataquest社Semiconductor Industry Worldwideグループ,チーフ・アナリストのJim Tully氏)。

■世界半導体ベンダの売上高別トップ10(単位:100万ドル)

企業名 1999年 2000年 1999~2000年
売上高 シェア(%) 売上高 シェア(%) 成長率(%)
ARM 88.5 17.9 114.2 16.6 29.0
MIPSTechnologies 84.9 17.2 91.8 13.3 8.1
Rambus 43.4 8.8 72.3 10.5 66.6
MentorGraphics 32.0 6.5 34.1 4.9 6.3
Synopsys 24.2 4.9 33.8 4.9 39.5
InSilicon 19.4 3.9 26.1 3.8 34.8
DSPGroup 19.0 3.8 25.1 3.6 32.1
VirageLogic 12.3 2.5 22.1 3.2 79.4
Artisan 16.8 3.4 20.8 3.0 23.7
Parthus Technologies 5.4 1.1 19.6 2.8
その他 146.5 29.7 230.1 33.3 57.0
合計 492.4 100.0 689.9 100.0 40.1

出典:Dataquest社

 最も売り上げの大きいカテゴリはマイクロプロセサのIPである。ARM社とMIPS社が牽引し,2000年に2億4200万ドルの市場となった。次に大きいカテゴリはPCIやUSB,IEEE 1394などのバス・インタフェースIPで,市場規模は1億2900万ドルだった。

 市場の大きな傾向は,ソフトウエアIPの利用が増えていること。ソフトウエアIPは2000年に146%成長しており,今後数年でハードウエアIPを超えるとみる。

 「これまでソフトウエアは,ハードウエアと組み合わせて無償で提供していた。しかしベンダは,ソフトウエアに対価を求める方向に動き始めている」(同氏)。

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