米AT&Tは米国時間11月18日に,同社のAT&T Broadband部門と米Comcastの合併が完了したことを発表した。合併は株式交換によって行われる。AT&T社の株主は1対0.3235の交換比率に基づき,11月15日の取引終了時点で保有していた株数に応じてComcast社のクラスA普通株を受け取る。

 合併を経た新会社は,米国41州に拠点を持ち,従業員5万9000人を擁する「米国最大規模のケーブルTV事業者となる」(AT&T社)。また事業規模も,サービス加入者が2140万人以上,デジタル・ビデオ利用者が約630万人,高速データ・サービス利用者が330万人,ケーブル・テレフォニ・サービス利用者が130万人へと,一気に拡大する。

 AT&T社会長兼CEOを退き合併後のComcast社会長に就任するMichael Armstrong氏は,次のように述べている。「AT&T Broadband社は合併により,業界の発展と変革を加速する役割を担う。新会社では,顧客,株主,従業員に新たな価値を提供し,人々に多彩なサービスを提供することを目指す」

 AT&Tの株主は,合併会社の66%の投票権を所有する。残り3分の1の投票権は,Comcast社のクラスB普通株を所有する,同社CEOであるBrian L. Roberts氏の一族が所有することになる。

 Comcast社は,AT&T社とその子会社の債務240億ドル以上を引き受ける。また,米Microsoftが保有する50億ドル分の転換優先株を引き継ぎ,Comcast社の株式1億1500万株に転換する。

 またAT&T社は同日,すでに同社株主の承認を得ていたreverse stock split(株式連結)を実施した。AT&T社の取締役会は株主に,「同社の組織再編やAT&T Wireless部門とAT&T Broadband部門のスピンオフを考慮して,株価調整の必要がある」と説明していた。株式連結によりAT&T社の株5株が1株にまとめられる。AT&T社は株式連結にを経て,発行済みの株が約7億7000株になると予測している。

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