米AT&Tが米国時間7月9日に,米Comcastが行った傘下のAT&T Broadband社に対する買収提案に関し,売却を否定する声明を発表した。

 Comcast社は米国3位のCATV企業。「買収が実現すれば,米AOL Time Warnerを大きく上回る米国最大のケーブルTV事業者になる」として,総額580億ドル規模での買収提案を行ったことを米国時間7月8日に明らかにしていた

 AT&T社の声明は以下の通り。

・「Comcast社の要望により,最近同社と非公式に何度か話し合いを行ったことは事実である。しかし,話し合いは具体的な内容に及んだものではない。“売却の金額面で合意”などとするウワサが流れているが,それらは全く事実無根である」。

・「Comcast社による提案も含め,現在のところ当社がBroadband部門を売却する計画は全くない」。

・「しかしComcast社の提案については評価したい。当社としては,長期的にみて株主に最大の利益をもたらす選択肢を取る」。

・当社の現行の計画は,2000年10月に発表したリストラ策を引き続き進めていくことである。これまでのところ,リストラ策は計画通り進行中で,今後も負債の圧縮に努める。AT&T Wireless社に関しては,同日スピンオフの手続きが完了した。株式の売却益は16億ドル」。

 AT&T社は2000年10月に発表した事業再編策のなかで,「2001年夏にBroadband部門およびWilress部門の新規株式公開(IPO)を行う」として,両社を本体からスピンオフして経営を切り離す計画について明らかにしていた。同日発表のWireless社の分離完了はこの計画に基づくもの。

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