米MicrosoftはCOMDEX Fall 2002の会場で,同社の開発ツール「Visual Studio .NET 2003」(開発コード名はEverett)の最終ベータ版をリリースした。Microsoft社が米国時間11月18日に明らかにしたもの。
Visual Studio .NET 2003は,Visual Studio .NET製品の最新版に相当し,「中核部分を改善したほか,企業/プロフェッショナル/モバイル・アプリケーション開発者向けの機能強化を図った」(同社)
企業開発者向けの主な強化点には,(1)「.NET Framework」の「Windows .NET Server 2003」との完全統合,(2)最大32個のプロセサに対応可能な拡張性,(3)性能向上,(4)WS-Security,WS-Routing,WS-Attachmentsなど最新のWebサービス向け仕様を使ったアプリケーション構築ツール群の追加,などがあるという。
Microsoft社では「プロフェッショナル開発者は,Visual Studio .NET 2003による生産性向上とパフォーマンス機能というメリットが得られる」と説明する。同社が示す主なメリットは以下の通り。
・「Visual Basic」開発システムのユーザーは,新機能により使い勝手を改善できる。
・完全に「Windows Forms」に対応したことで,C++開発者は強力なユーザー・インタフェース機能を活用できる。その際,数100行もの追加コードを書く必要はない。
・ISO(International Organization for Standardization)のC++標準に対して98%の適合性を持つので,Loki,Boost,Blitzといった一般的なC++ライブラリを利用しやすい。
・Java開発ツール「Visual J# .NET」を完全統合したことで,.NET Framework上でJava言語を使った迅速なXML対応Webサービス/アプリケーション開発が可能となる。
またモバイル・アプリケーション開発者は「ASP.NET」のモバイル・コントロールを介すことで,WWWサイト用メタ言語対応携帯電話機,ポケベル,無線PDAなど,200機種以上のWWW対応機器に対応できる。さらに,「.NET Compact Frameworkへの完全対応により,数100万人にのぼるVisual Studio開発者は,Pocket PCやPocket PC Phone Edition,さまざまなWindows CE .NET対応機器を開発対象に選べるようになる」(同社)
Visual Studio .NET 2003のそのほかの特徴としては,ロード時間の改善,入力補完機能「IntelliSense」の強化,米Oracle製データベース対応などの新データ管理機能などがある。
年間ライセンス契約またはMSDN購読のもとに次期バージョンにアップグレードする権利がない「Visual Studio .NET 2002」の登録ユーザーは,期間限定でVisual Studio .NET 2003を29ドル(メディア/送料/手数料を含む)で入手できる。製品版の発売は2003年4月の予定だが,正式な価格と出荷開始日は後日発表する。なおMSDN購読者は,最終ベータ版をMicrosoft社のWWWサイトからダウンロードできる。
またMicrosoft社は同日,モバイル・アプリケーション用プラットフォーム「.NET Compact Framework」の新版と,同プラットフォーム上で製品版アプリケーションを展開するためのライセンス「Go Live」についても発表した。
Go Liveライセンスは,ベータ版のソフトウエア・ライセンスにある製品アプリケーション展開に関する制限を解除するもの。これによりVisual Studio .NET 2003のベータ版の顧客は,.NET Compact Framework上で開発した製品版アプリケーションの展開が可能になる。
◎関連記事
■Visual Studio .NET次期版はWindows .NET Serverと互換性を持ち,.NET Compact Frameworkにも対応
■Visual Studioは年内にマイナー・チェンジ,2003年にも大幅なバージョンアップを予定
■米マイクロソフトがWebサービス開発環境「Visual Studio .NET」「.NET Framework」を発表
■米マイクロソフトが「SQL Server CE 2.0」をリリース,「.NET Compact Framework」ベータ第2版も発表
■米マイクロソフトが「Visual C# .NET」「Visual C++ .NET」のロード・マップを発表
■米マイクロソフトが独自開発のJava開発ツール「Visual J# .NET」を発表
■「.NET」と「Java」に二分されるWebサービスのプラットフォーム,来年はともに約60%の開発者が使用
■「XML開発ツール市場は2006年まで年平均41.5%で成長」,米IDCの調査
[発表資料へ]