米Microsoftが,同社の開発ツール「Visual Studio .NET」用のプログラミング言語「Visual C# .NET」および「Visual C++ .NET」に関するロード・マップを発表した。同社会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトのBill Gates氏が米国時間11月8日に,Object-Oriented Programming, Systems, Languages and Applications(OOPSLA)の17th Annual ACM Conferenceの基調講演で述べたもの。

 講演のなかでGates氏は,Visual C++ .NETとVisual C# .NETの将来版における機能強化項目を紹介した。それによると,将来リリースするVisual C++ .NETでは,ISO(International Organization for Standardization)のC++標準に対して98%の適合性を提供するという。「これでWindowsの開発者は初めて,ISOが規定した先進的なC++言語の機能を使えると同時に,最新のC++ライブラリのコンパイルと利用が可能になる」(Microsoft社)

 さらにGates氏は,浮動小数点演算の性能改善,Windows Formベースの開発の生産性向上,コンピューティングの信頼性を高めることによるセキュリティ強化など,Visual C++ .NETの次版に追加する新機能についても触れた。

 次に同社は,C#言語に新仕様をいくつか追加する提案についても明らかにした。そのなかの一つの「ジェネリクス」と呼ぶ機能を利用すると,「C++開発者でもすぐに使いこなせる言語構成物(コンストラクト)を使用して,堅牢かつ最新のビジネス・フレームワークを作成できる」(同社)

 なおC#は同社が開発したC/C++ベースのプログラミング言語で,国際的な標準化機関である欧州電子計算機工業会(ECMA:European Computer Manufacturers' Association)が標準仕様として承認している。Microsoft社は,アノニマス・メソッド,イテレイタ,パーシャル・タイプなどC#言語仕様向けの生産性強化機能を,ジェネリクスとともにECMAに提出する予定である。

 またGates氏は基調講演で,同社内で使用している開発ツール「Scout」(開発コード名)を紹介した。このツールは同社の研究部門Microsoft Researchが開発したもので,「製品の脆弱性に関わる問題の発見/処理優先度付け/解決が可能になった」(同社)という。

 Scoutは,アプリケーションの試験時に作業の優先順位を決定するシステム。プログラム対して行った変更作業の内容に応じ,適用する試験項目の順位を決定できる。「Scoutを使用することで,開発チームは開発中の試験内容を記録し,開発の初期段階から(脆弱性検出)作業を見落としすることなく実施し,製品の安全性/信頼性を高める上,修正作業を短時間で行えるようになる」(同社)

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