米In-Stat/MDRが米国時間10月30日に,無線データおよびインターネット市場の今後の展望について調査した結果を発表した。グラフィックスやビデオに対応したEMS(Enhanced Messaging Service)とMMS(Multimedia Messaging Service)の普及により,メッセージング・サービスの加入者数は2001年末の3億500万人から2006年には10億人以上へと急増する。無線インターネット・サービスの加入者数はメッセージング・サービスのそれを下回るが,同様の急速度で増加する。

 「無線データおよびインターネット市場の先行きは明るい。適切なインフラの整備,カラー・ディスプレイ・ハンドセットの普及,CDMA 1xRTTやGPRS(General Packet Radio Services)といった次世代サービスが市場の成長を後押しする」。

 In-Stat/MDR社ディレクタのBecky Diercks氏は,「無線インターネット市場の将来はサービス料金にかかっている。各地域によって料金体系がまちまちであるばかりか,平均的な消費者にとって料金設定が高すぎる」と指摘した。しかし同氏は,「仏France Telecom傘下のOrangeグループが欧州におけるGPRSの大幅な値引きを発表したほか,米Nextelと米Verizon Wirelessが米国で一律料金を導入するなど,業界は正しい方向に進んでいる。また米Sprintは先週,『PCS Vision』向けに新しいサービス・プランを発表した」と説明した。

 In-Stat/MDR社は,より魅力的なアプリケーションを提供し,アプリケーションとサービスをうまく融合させることで,市場はさらに勢いをつけるとみる。これまでは,CDMAベースのキャリアの方がGPRSベースのキャリアより,アプリケーションとサービスの融合に成功している。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・無線インターネットの加入者数は,2001年末の7400万人から2006年末の3億2000万人以上へと急増する。

・無線インターネット市場をリードしているのは日本である。NTTドコモがPDC(Personal Digital Cellular)方式の携帯電話で先べんをつけたが,日本ではキャリア間の競争が激化している。NTTドコモは,W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)ベースのFOMA(Freedom of Mobile Access)サービスに望みを託しているが,デバイスとサービスが高額であることや,サービス・エリアが限られていることなどから苦戦している。また,W-CDMA技術を活用したアプリケーションの欠如も災いしている。

・韓国では,CDMA技術が無線インターネットの普及をけん引している。また米国も一部の予測とは裏腹に,徐々に普及が進んでいる。米Sun MicrosystemsのJ2MEや,米QualcommのBREW(Binary Runtime Environment for Wireless)などが,無線データ市場の成長に貢献している。

・欧州ではGPRS対応サービス(SMSなどのメッセージング・サービスは除く)の普及が進んでおらず,無線データの利用が他の地域と比べ遅れている。W-CDMA技術の登場をもってしても,この傾向は変わらない見通し。

◎関連記事
「世界のネット・ユーザーは2005年末に11億2000万人,そのうち無線ユーザーが48%」と米調査会社
モバイル・データ・サービス市場,2011年に1300億ユーロを現在の約20倍に
「現在のCDMA2000対応機器は200機種,2003年には100ドル未満で購入可能に」,業界団体の調査
米スプリント,音声およびデータ通信サービスの新規サービス・プランを発表
ドコモ,年末商戦に向けFOMA端末を続々。2003年度に定額PHS提供も検討
米ベライゾン,3Gネットワーク「Express Network」の商用サービスを開始
米ネクステル,米クアルコム,米モトローラが「Direct Connect」サービスを第3世代CDMA網に拡大
3G時代に入った携帯電話,あふれる技術用語を読み解く

[発表資料へ]