英Analysysが現地時間7月6日に,「モバイル・データ・サービス市場の売上高は2000年の70億ユーロ(59億ドル)の水準から2011年にはおよそ1300億ユーロ(1100億ドル)規模に成長する」とする調査報告を発表した。

 モバイル事業者は,第3世代(3G)ネットワークの構築やアプリケーション開発などですでに多額の資金を注ぎ込んでいる。一方で,ユーザーがモバイル・データ・サービスに費やす平均利用額は落ち込む傾向にあり,売り上げが上向くのは2003年以降になるという。

 「向こう24カ月で事業者間の“勝敗”が明確になる」(Analysys社)。

 「サービス事業者は,従来のサービスにコンテンツの収集機能やトランザクション管理などといった付加価値を加えたり,情報サービスとエンターテインメントを融合した“インフォテインメント”,mコマースなど,新しい種類のサービスを生み出してユーザーを引き付ける必要がある」とAnalysys社は指摘する。一例として,米America Online(AOL)や米Yahoo!などポータル・サイトを手掛けるサービス・プロバイダ企業や独Deutsche Bank,米Visa Internationalなど金融サービス・プロバイダなどとの提携を挙げている。

 また,市場シェアの低い事業者や新規参入企業などは,モバイル向け仮想ネットワーク事業者(MVNO:Mobile Virtual Network Operator)と提携して顧客の獲得を図るのも有効である。

 ただし,こうしたポータル・サイトのサービス・プロバイダ企業や金融サービス企業,MBNOなどが,mコマースなど新たに立ち上がった市場でシェアを狙うライバルとなる可能性も少なくない。Analysys社によれば,インフォテインメントおよびmコマースの市場は売上高ベースで合わせて80億ユーロ(68億ドル)の規模になるという。

 またネットワーク事業者が中核事業とするネットワーク・アクセス・サービス市場は700億ユーロの(593億ドル)規模となる見込みであるが,この市場にMVNO企業が食い込んでくる可能性もあるとしている。

 モバイル・データ通信サービス市場を牽引する主なカテゴリとしてはメッセ―ジングやファイル転送,インフォテインメント・サービスなどがある。これにシェアとしては小さいがmコマース向けの広告やモバイル・トランザクションの手数料収入などが加わる。

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