米Sun Microsystemsが米国時間10月28日に,アプリケーション・サーバーの新版「Sun ONE Application Server 7」の「Standard Edition」および「Platform Edition」を発表した。さらに同社は,Platform Editionを企業/独立系ソフトウエア・ベンダー(ISV)に無料で提供することも明らかにした。

 「新たなモジュラ・アーキテクチャを採用したことで,顧客や開発者による選択の幅を広げ,Sun ONE Java対応Webサービスの迅速な構築/導入によりROI(投資回収率)を向上させる」(Sun社)

 Sun ONE Application Server 7の主な内容は以下の通り。

・Java 2 Platform, Enterprise Edition(J2EE)プラットフォームのバージョン1.3とJava WSDPを実装。Java WSDPは,XMLアプリケーション,WWWアプリケーション,Webサービスを構築/試験/導入するための統合ツールセットで,Java標準にWSDL,SOAP,ebXML,UDDIなどのWebサービス標準を実装したもの

・Webサービス向けツールの「Sun ONE Studio for Java, Enterprise Edition 4.1 IDE」との統合。Webサービスを作成/再利用し,「Sun ONE Application Framework 2.0」で提供されるビルド済みコンポーネントと組み合わせることで,Java対応Webサービスの開発作業を大幅に合理化し,開発者の生産性を向上させる

・J2EE 1.3プラットフォームのReference Implementation(参照実装)によるランタイムをベースとするアーキテクチャを採用。Sun ONE Application Server用に構築したアプリケーションを,簡単にJ2EE技術ベースのアプリケーション・サーバーで動作させることが可能。その結果,市場投入にかかる期間を短縮できる。また,「Java Application Verification Kit for the Enterprise(Java AVK Enterprise)」を使うと,J2EEの別の実装間におけるアプリケーションの移植性を検証できる

 なおSun社によると,JAX-RPCを使ってWebサービスのベンチマークを計測したところ,Sun ONE Application Server 7の方が米BEA Systemsや米IBMの製品より45%以上高速であったという。さらにSun社が独自に行ったJSP,Servlet,JDBCの動作テストでは,「IBM社のWebSphereに比べ50%以上高速という結果を得た」(Sun社)

 Sun ONE Application Server 7のStandard Editionは現在利用可能となっている。価格は1CPU当り2000ドルで,大規模ドメイン向けの遠隔管理/監視機能を備える。「IBM社はWebSphereを1CPU当り8000ドル以上で提供しており,当社の価格帯に相当する製品を出していない」(Sun社)

 一方Platform Editionの「Solaris」およびWindowsプラットフォーム版は,Sun社のWWWサイトから無料でダウンロードできる。1CPU当り年額795ドルで利用可能なメンテナンス/サポート・サービスを用意する。「Sun Linux」,「HP-UX」,「AIX」版は,60日~90日後に利用可能とする予定。「Solaris 9 Operating Environment」との統合は,2003年1月になる見込み。

◎関連記事
米サンが「Sun ONE Application Server, Platform Edition」を無償提供,「LinuxやWindowsもサポート」
米サンがJava対応Webサービス開発プラットフォーム「Sun ONE Developer Platform」を発表
米サンが「Solaris 9 OE」を発表,主要ミドルウエアとの統合を進める
米サンがJ2EE対応アプリ検証キット「J2EE AVK」を発表,検証期間の短縮を狙う
米サンがJ2EEの最新版「1.3」を正式発表,Webサービス向け機能を高める
サンがついにWS-Iに参加
「J2EEアプリケーション・サーバー市場はベンダーの整理統合が進む,普及の障害はJ2EEの複雑さ」,米調査
アプリケーション・サーバー世界市場,2000年の92%成長から2001年は20%成長へ急減速

[発表資料へ]