米IDCが米国時間10月7日に,2002年における世界ITサービス市場の見通しについて下方修正を発表した。IDCは,2002年における同市場の成長率を10.6%と予測していたが,これを6.7%に引き下げる。

 また同社は,今後5年の見通しも修正した。世界ITサービス支出は2006年まで年平均10.6%で拡大し,5720億ドルに達するという。

 IDC,Worldwide Servicesプログラム部門プログラム・マネージャのNed May氏は,下方修正の理由として「市場に関して2つの見込み違いがあった」と説明した。「2002年前半に企業のITサービス支出が安定すると予測していたが,実際は減少した。また,2002年半ばまでに好転すると見込んでいた需要は,早くとも2002年第4四半期になる見通しだ。需要が完全に回復するのは,2003年春以降だろう」(同氏)

 IDCは,すべての地域において2002年以降のITサービス支出が従来の予測を下回るとの見通しを明らかにした。最も下方修正の度合いが大きかったのは米国。カナダが僅差でそれに続く。修正の度合いが最も小さい地域は日本,東欧,中東,アフリカである。日本を除くアジア太平洋地域も下方修正の対象となったが,2006年までの年平均成長率が20.5%と,その見通しは明るい。

 ITサービスを分野別にみると,システム統合,ISコンサルティング,カスタム・アプリケーション開発など,プロジェクト志向のITサービス分野が伸び悩んでいる。IDCは,2002年におけるこれら分野の全体的な成長率を5ポイント下方修正した。ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)などのアウトソーシング分野も下方修正されたが,全体的な成長率は14.5%と,堅調な伸びをみせる見通しだ。

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