米Logitechが米国時間9月18日に,カリフォルニア州ラ・ホーヤで開催中のDEMOMobile 2002 Conferenceで,ノートなどに書いた手書き文字を入力できる電子ペン「Logitech io」を発表した。

 「紙にインクで字を書くという数千年間行われてきた単純な方法で,簡単に手書き文字情報を共有/保存/管理/検索できる」(Logitech社)。ペンに組み込まれた光センサーが手書き文字の画像を取り込み,最大40ページ分の情報をメモリーに保存する。保存したデジタル情報は,USB対応クレードルを介して,パソコンに転送できる。

 Logitech ioでは,スウェーデンのC Technologies ABの子会社Anoto ABの開発した技術を使用する。Logitech社はAnoto社の技術以外にも,米MeadWestvacoの「Mead Cambridge Notebooks」,米3Mの「Post-it Notes」,米FranklinCoveyやフランスGroupe Hamelinの生産性ツールなどの製品を,Logitech ioに対応させるという。

 「他社はペン入力をパソコンからスタートさせ,パソコンをより使いやすくしよういう目標を立てている。当社の方法はそれとまったく異なり,ペンと紙が出発点だ。目標は,デジタル世界でこれらの道具をより効率的なものにすることである」(Logitech社上級副社長兼制御機器事業部門担当ジェネラル・マネージャのDavid Henry氏)

 「Logitech ioなら作業のやり方を変えずに済み,会議にパソコンを苦労して持ち込む必要もない」(同氏)

 手書き文字をペンに認識させるには,小さな点によるパターンをあらかじめ印刷した専用の用紙を使用する。文字を書くと光センサーがパターンを読み取って筆跡を判別し,ペン内の不揮発性メモリーに情報として保存する。

 Logitech ioをクレードル経由でパソコンと接続することで,手書き文字の情報をMicrosoft WordやAdobe Illustrator,スケジュール管理ツールのMicrosoft OutlookやLotus Notes,MAPIに対応する一般的な電子メール・アプリケーションなどに入力できる。さらに,Post-it Noteを使えば,パソコンのデスクトップにアラーム機能付きの“付せん紙”を貼り付けることもできる。

 Logitech ioは,2002年11月に米国と欧州の一部で発売する。スタータ・キットの米国における希望小売価格は199ドル。同キットにはペン本体のほか,急速充電機能付きUSBクレードル,Logitech io Software,Mead Cambridge Limited Digital Notebook(1冊),Post-it Software Notes-Lite,Post-it Notes for Digital Pens用ポケットブック(1冊),ACアダプタ,予備のインク(5本)が付属する。

 またFranklinCovey社は2002年末に,Logitech ioペンに対応する「FranklinCovey iScribe Digital Planning Pages」のリリースを予定している。

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