米IDCが米国時間7月24日に,2002年と2003年における世界のIT支出に関する調査結果を発表した。それによると,2002年のIT支出額は9810億ドルに達し,前年に比べ3.7%増加するという。ハードウエアに対する支出は前年比4%減であるが,ソフトウエアとサービスに対する支出が増加するため,IT市場全体の支出額が増えることになる,としている。

 次第に回復する経済状況の影響で,2003年には世界のIT支出額は前年比9%増を記録し,1兆ドルを超えるとみる。「IT業界がこの市場規模に達するのは初めてのことであり,2000年のドットコム・ブームの規模を上回る」(IDC)。また,ハードウエアに対する支出も復活し,前年比5%増となると見込む。

 2002年の状況について,IDC世界IT市場調査部門担当プログラム・ディレクタのStephen Minton氏は以下のように分析する。「第4四半期になれば,市場の改善がはっきりする。景気はすでに底を打っており,復活の兆しが第3四半期に広まり始める。そして第4四半期には,前年比で大きく成長するだろう」

 ただし新規プロジェクトについては,「2003年まで中断されたままになる可能性がある」(同氏)という。「予算額が制限されているため,2002年第4四半期で使い切ってしまうことになる。その結果,支出の多くは,この6四半期のあいだに製品寿命を超えてしまったものの交換に使われるだろう。つまり,市場状況復活のペースは,すべてのITベンダーや市場分野で同じにはならないということだ」(同氏)

 地域別にみたIT支出状況の予測は以下の通り。

・米国:2002年は前年比3%増の4360億ドルで,2003年はさらに9%増加する。

・西欧:2002年は前年比4%増,2003年は同6%増。

・日本:2002年は前年と同程度だが,2003年は前年比7%増とプラスに転ずる。

・2003年に大きな成長が見込まれる市場は,中国,インド,韓国,ロシア,フィリピン,南アフリカ,ポーランド。

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