米IDCが米国時間6月13日に,2002年における世界パソコン市場に関する調査結果を発表した。それによると,2002年第1四半期の出荷台数は,日本を除いたすべての主要地域で予想よりわずかに多かった。これを受けIDCは,2002年における全世界のパソコン出荷台数の伸び率を3%から4.7%に上方修正した。
「大企業による支出は未だに増加していない。それに対し,小規模な企業や消費者による需要が徐々に増えている。2002年の後半には季節的な出荷台数の増加があり,ゆっくりとしたペースだが確実に企業向け市場も改善するだろう」(IDC,Worldwide Quarterly PC Tracker部門ディレクタのLoren Loverde氏)
「消費者の需要で2002年後半まではなんとか乗り切れる。そのころには,企業が2000年以前に購入したシステムを入れ替え始めるはずだ」(IDC,Client Computing部門ディレクタのRoger Kay氏)
地域別でみた主な調査結果は以下の通り。
・米国:2002年の企業向け市場の回復は,まず小企業から始まり,大企業がそれに続く。消費者の支出は,新学期とホリデー・シーズンの影響で2002年後半も継続して改善する。
・西欧:第1四半期にノート・パソコンの出荷が増加し続けたのに対し,デスクトップ・パソコンは消費者/企業のいずれも低調だった。今後の回復も限られたものになる。企業市場の支出が抑えられていることに加え,2001年の下落がそれほど激しくなかったため,欧州市場の回復は米国市場ほど急激なものにはならない。
・日本:第2四半期も出荷台数は2けた台の減少率となる。しかし,2002年後半には増加に転ずるとみる。2002年の出荷台数合計は減少するが,2003年と2004年には増加する。
・アジア太平洋地域:2002年後半に消費者の需要が復活し,教育/政府分野の牽引により企業の支出が増加する。その影響で,同地域が世界で最も伸び率の高い市場という状態が続く。
■1999年~2003年の米国および世界のパソコン出荷台数と伸び率 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 米国の出荷台数(単位:100万台) 消費者 17.69 19.31 15.51 16.68 17.76 企業 30.94 32.66 30.54 31.89 35.82 合計 48.63 51.97 46.04 48.57 53.58 全世界の出荷台数(単位:100万台) 消費者 40.99 51.89 46.78 49.50 54.26 企業 79.05 87.26 86.69 90.21 100.99 合計 120.04 139.15 133.47 139.71 155.25 米国の伸び率 消費者 40.8% 9.1% -19.7% 7.6% 6.4% 企業 13.0% 5.6% -6.5% 4.4% 12.3% 合計 21.8% 6.9% -11.4% 5.5% 10.3% 全世界の伸び率 消費者 46.0% 26.6% -9.8% 5.8% 9.6% 企業 14.2% 10.4% -0.7% 4.1% 12.0% 合計 23.4% 15.9% -4.1% 4.7% 11.1% 出典:IDC(2002年6月)
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