マルチモーダル向け音声処理言語の標準化を進める業界団体SALT Forumが,音声処理向け拡張タグ仕様「Speech Application Language Tags(SALT)」の「Version 1.0」を公開した。SALT Forumが米国時間7月15日に明らかにしたもの。同仕様は,SALT ForumのWWWサイトから入手できる。

 「SALTは,広く使用されているWWWベースのプログラミング言語を拡張したシンプルなタグ・セットを定義している。そのため開発者は,使い慣れたツールや技術を使用して,WWWコンテンツやアプリケーションに音声インタフェースを追加できる」(SALT Forum)

 マルチモーダル・アプリケーションでは,SALTのタグを追加することで,音声入力および出力機能に対応できるようになる。これらの機能は,独立したイベントとしても,スタイラスで画面を指している最中に音声を出力するようなほかのインタフェースと組み合わせても利用できる。

 「テレフォニ・アプリケーションのように,音声しか使えない環境でユーザーと対話的な操作を行う場合,音声認識および音声合成用のリソースを管理する必要がある」(SALT Forum)。これに対処するためSALTでは,リソース管理に使うプログラミング・インタフェース用タグを用意している。

 SALT仕様に対応する製品のリリースを計画している主な企業/組織は以下の通り。

・米Microsoft:同社の開発環境「Visual Studio .NET」にシームレスに組み込み可能なSALT対応音声ソフトウエア開発キット「.NET Speech software development kit(SDK)」のベータ版をリリースした。

・オランダRoyal Philips Electronics:Java 2をベースにしたSALT対応ブラウザを提供することについて明らかにした。

・米Kirusa:同社のSALT対応マルチモーダル・プラットフォームと米SandCherryの「SoftServer」プラットフォームを組み合わせ,SALTベースのマルチモーダル無線アプリケーションをデモンストレーションする。

・米HeyAnita:SALTブラウザ「FreeSpeech」を開発した。同ブラウザを使うと,Microsoft社の.NET Speech SDKやVisual Studio .NETなどのSALT対応開発ツールを使って開発したアプリケーションを,HeyAnita社の「FreeSpeech Platform」で動作させられる。

・カーネギー・メロン大学:OpenSALTプロジェクトの一環として,オープン・ソースのSALTブラウザを開発している。

 なお,これまでの計画通りSALT Forumは,SALTを音声対応のマルチモーダル/テレフォニ・アプリケーション向けのオープンでロイヤルティフリーな標準規格として,国際的な標準化組織に提出する予定という。

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