WWW関連技術の標準化を進めるW3C(World Wide Web Consortium)が米国時間2月26日に,特許ポリシーのワーキング・ドラフト「Patent Policy Working Draft」の改訂版を公開した。

 これによりW3Cは,特許使用料免除(ロイヤルティ・フリー:RF)という方針を明確に打ち出した。このドラフトでは,「W3Cの勧告仕様の策定に携わるすべてのメンバーは,それぞれが持ついかなる特許も無料で提供しなければならない」と定めている。

 今後は「ロイヤルティ・フリーの標準仕様を策定するという目的に向かって作業を進める」(W3C)という。

 これまで論議を呼んでいた「“合理的かつ差別のない(RAND:reasonable and non-discriminatory)”ライセンス供与を目指す」というフレームワークは取り除かれた。これは,「W3Cにより許可された特定のメンバーがW3Cの勧告仕様における特許に対してその使用料を要求することができる」というものだった。

 W3Cでは,「このドラフト改訂版により,WWW技術の標準技術において,RANDにどのような役割をもたせるべきか,という議論は最終解決の段階に入った」と説明する。

 W3Cでは,今回のドラフトは先のものに比べて以下の違いがあると説明している。

(1)RANDの規定を削除。このためRAND規定に関する作業部会のプロセスはなくなる。ただし例外的な状況において,RANDを取り入れるか否かということについては今後検討する必要がある。

(2)これより作業部会のメンバーは,ロイヤルティ・フリーによるライセンス供与を行わなければならない。ただし,W3C勧告仕様にかかわる技術に関し,メンバーが他者から特許侵害で訴えられた場合に限り,その防御措置として自社特許の権利を行使できる。

(3)この特許ポリシーは現段階ではドラフトであり,今後も最終的な策定に向けて作業を続ける。ただしW3Cはすでにロイヤルティ・フリー規定に向けた確固たるポリシーで作業を進めている。

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