米Apple Computerが米国時間2月12日に,ストリーミング・ソフト「QuickTime 6」,ストリーミング・サーバー「QuickTime Streaming Server 4」,ライブ・ストリーミング・ソフト「QuickTime Broadcaster」を発表した。MPEG-4をサポートする。

 Apple社によるとQuickTime 6のリリース準備は完了しているが,「MPEG-4のビデオ・ライセンシング条件が改善されるまでリリースを延期する」(Apple社)という。ライセンス管理会社MPEG-LA社が提案しているMPEG-4ライセンシング条件には,Apple社などのMPEG-4コーデック製品を出荷している企業のほか,コンテンツ・プロバイダによるロイヤリティの支払いが含まれている。

 Apple社は「QuickTimeのMPEG-4コーデックに関して正当なロイヤリティを支払うことに異存はない。しかし,コンテンツ所有者がMPEG-4を使用したコンテンツの配信にロイヤリティを支払わなければならないなら,MPEG-4が市場で成功をおさめるとは思えない」と述べている。

 今回発表した各製品の主な特徴は以下の通り。

■QuickTime 6

・Apple社が開発した,MPEG-4ビデオ・コンテンツの圧縮/伸長技術(コーデック)
・次世代オーディオ・フォーマットAdvanced Audio Coding(AAC)に対応
・MPEG-4の音声コーデックCELPをサポート
・Internet Streaming Media Alliance(ISMA)1.0仕様に準拠
・MPEG-1およびMPEG-2再生機能
・「Flash 5」をサポート
・DVC Pro(PAL)をサポート
・「Favorites」などのユーザー・インタフェースを変更
・スキップ防止機能を強化

■QuickTime Streaming Server 4

・「iTunes」「QuickTime」「WinAmp」といったMP3対応プレーヤ向けにMP3ファイルやプレイリストを処理可能
・WWW対応管理ツールを強化
・QoSやスキップ防止機能を向上

 QuickTime Streaming Server 4の使用にはMPEG-4ライセンスは不要である。QuickTime Streaming Server 4はWWWサイトから無償でダウンロードできる。

■QuickTime Broadcaster

・リアルタイム・プレビュー機能を備えたライブ・エンコーディング
・コンピュータのハード・ディスク装置へのリアルタイム保存とヒント付加
・すべてのQuickTimeコーデックをサポート
・「AppleScript」対応
・カスタムな設定が可能
・BroadcasterとServer間におけるTCP経由での通信をサポート
・BroadcasterとServer間の接続を自動設定

 QuickTime Broadcasterは無償で配布する計画だが,QuickTime 6と同様の理由によりリリースを延期している。QuickTime Broadcasterを利用するには,QuickTime 6,「Mac OS X(バージョン10.1以降)」と「Mac OS X Server」,QuickTime Streaming Server,互換性のあるサーバーが必要。

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[www.apple.comに掲載の発表資料1]
[www.apple.comに掲載の発表資料2]