米Microsoftが米国時間12月11日に,ストリーミング・プラットフォーム「Windows Media Technologies」の次期版となる「Corona(開発コード名)」を発表した。ニューヨークで開催中の「Streaming Media East 2001」の基調講演で,同社Windows Digital Media部門バイス・プレジデントのWill Poole氏がプレビューを行ったもの。

 「ホーム・シアター並みのクオリティを持つオーディオとビデオを,広帯域接続を利用するパソコン・ユーザーに提供する」(Microsoft社)

 またMicrosoft社は,Coronaを構成する技術の第一弾として「Windows Media Services in Windows .NET Server」を発表した。すでにベータ・テスト版をMSDN会員が利用可能。その他のCorona技術である「Windows Media Player」「Windows Media Audio and Videoコーデック」「Windows Media Encoder」「Windows Media Software Development Kit(SDK)」などの新版は,2002年初頭にベータ・テスト版をリリースする計画である。

 Coronaの主な特徴は以下の通り。

・即座にストリーミングを開始する「Fast Stream」機能。従来のようなバッファによる遅延を低減する。また,ストリーミング・オーディオやビデオを自動的に最適化し,帯域幅を最大限に活用する。

・Windows Media Audioコーデックの新版「Windows Media Audio Professional」とWindows Media Videoの新バージョン。Windows Media Audio Professionalは5.1チャンネル・サラウンド・サウンド(192kHz/24bitのサンプリング)のWWW配信を可能にする。Windows Media Videoの新バージョンは旧バージョンより20%効率を高め,「HDTVと同様のビデオ画質をDVDの半分のファイル・サイズで提供する」(Microsoft社)。

・動的なコンテンツ・プログラミング機能。サーバー側でプレイリストをサポートしており,リアルタイムの広告挿入が可能。

・拡張性のあるプラットフォーム。アプリケーション開発者はWindows Media Technologiesに構築した新たな製品やサービスを,プレーヤ,サーバー,エンコーダ用プラグイン・モデルを介して提供できる。

 Microsoft社によると,米Cirrus Logic,米ESS Technology,米LSI Logic,仏伊合弁のSTMicroelectronics,米ZoranといったDVDプロセサ・メーカーがCoronaへの対応を表明しているという。

 なお,デジタル・メディア市場におけるMicrosoft社のライバル,米RealNetworksも12月4日(米国時間)に,デジタル・メディアの新サービス「RealOne」および再生ソ
フトを発表している(関連情報)。メディア・プレーヤの新版「RealOne Player」と有償の加入サービスを組み合わせて提供する。

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[www.microsoft.comに掲載の発表資料1]
[www.microsoft.comに掲載の発表資料2]