米Forward Conceptsが米国時間11月19日に,家庭/企業における無線LANシステムと無線LAN用LSI市場に関する調査結果を発表した。それによると,「現在のところ,企業向けの無線LAN用インタフェース・カード(NIC),アクセス・ポイント,LAN間ブリッジの市場規模が最も大きく,家庭向け無線LAN市場の2倍。ただし,家庭向け無線LAN市場は急速に拡大し,2005年には企業向け市場を上回る」という。

 その一方で,ノート・パソコン,インターネット端末(Webpad),PDA,携帯電話機などに向けた内蔵型無線LAN市場が2002年に拡大を始め,2005年には企業/家庭市場を凌ぐと予測する。「2003年初頭には,無線LANに対応する携帯電話機が多くなる。Bluetoothを併用するものもあれば,無線LANのみに対応することもあるだろう」(Forward社)

 主な調査結果は次の通り。

・無線LANシステム市場の規模は,2001年いっぱいは横ばい。技術関連市場の低迷からすると健闘しているといえる。無線LANシステム市場全体は急速に回復して年平均42%で拡大する。その結果,2001年に16億ドルの市場規模が,2005年には91億ドルに達する。

・HomeRFやIEEE 802.11b,IEEE 802.11g,IEEE 802.11a,IEEE 802.11a/b両用,HyperLAN/2の標準規格に対応したLSI市場に関しては,802.11b対応LSIが優勢で2001年~2005年に年平均82%で伸びる。しかし,802.11a対応LSIの伸び率は375%と,より急速に拡大する。一方,転送速度が22Mbpsまたは54Mbpsの802.11g対応LSIは171%で拡大し,802.11aと802.11bの両方に対応するLSIの伸び率は193%。

 Forward社上級コンサルタントのCarter L. Horney氏は,「IEEE 802.11gのドラフト・スタンダードにより,2.4GHz帯でより高速な22Mbpsや54Mbpsのデータ転送が可能になる。このため,5GHzのIEEE 802.11a向けLSIが供給過剰になるとすぐに,(IEEE 802.11g対応の)新たなLSIの供給が始まる」とみる。

 2.4GHz帯を使用する54Mbpsの通信は信号伝達性が優れている。そのため,2.4GHz帯を使った方が,IEEE 802.11a対応の製品が対象としている5GHz帯を使う場合よりも通信距離を長くできる。「通信距離の長さと,広く使用されている11Mbpsの802.11bとの互換性により,5GHz帯を使うIEEE 802.11aの市場規模の見込みに対してIEEE 802.11bがなんらかの影響を及ぼす可能性がある」(同氏)

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