2.4GHz帯を用いる高速無線ネットワークの標準規格IEEE 802.11gを検討しているIEEE 802.11g Task Groupは,IEEE 802.11g規格として検討されていた二つの最終提案を統合し,新たなドラフト・スタンダードとしてリリースした。米Texas Instruments(TI)が米国時間11月16日に明らかにしたもの。

 このドラフト・スタンダードは,TI社,米Intersilなど数社が提出していた妥協案で,IEEE 802.11bとの互換性を確保しつつ,2.4GHz帯で複数のデータ転送速度(最大54Mbps)を実現する。変調方式としては,CCK-OFDMとTI社の「PBCC-22」を規定している。PBCC-22技術は,22Mbpsと既存の11MbpsのIEEE 802.11b対応製品間における相互運用性を可能にする。

 ハイテク関連調査会社,米Cahners In-Stat傘下のMicroDesign Resources社上級アナリストのAllen Nogee氏は,複数の変調方式を規定したIEEE 802.11gのドラフト・スタンダードについて,「IEEEがIEEE 802.11gで,11Mbps,22Mbps,54Mbps間の明確な移行パスを示したことになる。一つの標準規格で複数種類のモードに対応した製品の開発が現実的になる」とみる。

 TI社の技術がドラフト・スタンダードに盛り込まれたことについては,「TI社はすでに出荷している『ACX100』で22Mbpsの転送速度を実現している。このため同社とその顧客は,802.11g互換製品の市場で好調な出足を切れる」(同氏)と説明する。

 IEEE 802.11gで使用する技術が明確になったことで,TI社は同社がすでに持っている802.11b向けの技術を利用して,IEEE 802.11g対応製品を開発していくという。またIEEE 802.11aに関する開発も並行して行う。同社はIEEE 802.11g対応製品を2002年中頃にリリースする予定である。

 「IEEE 802.11gのドラフト・スタンダードでTI社のPBCC-22が盛り込まれたことから,22Mbpsに対応済みのTI社の既存製品は,今後TI社が開発するIEEE 802.11g互換製品とのあいだで22Mbpsによる相互運用が可能になる。IEEE 802.11bとの完全な互換性を保ち,高いレベルでの上位互換を実現する」(同社)

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