米国の調査会社Allied Business Intelligence(ABI)が米国時間3月20日に,「米IntelのIEEE 802.11bへの移行はHomeRF(Home Radio Frequency Working Group:HRFWG)の取り組みに大きな打撃を与える」などとする分析結果を明らかにした。

 ABI社によれば,Intel社は家庭内無線ネットワーク製品「AnyPoint」の次世代製品で802.11bへの対応を進めている。Intel社のこの動きは,HomeRFの大きな後退につながるという。

 「HomeRFはテレフォニ,ストリーミング・メディア,セキュリティなどに対応し,優れた無線ネットワーク技術を提供している。しかし802.11bは量や支持者の数の両面においてHomeRFよりも弾みがついている」(ABI社)。

 HomeRFは伝送速度を1.6Mbpsから10Mbpsに拡張したHomeRF 2.0の発表準備を進めているが,この際にHomeRF 2.0を支持する主要企業の数が減少する可能性がある。

 なおIEEE 802.11bは,IEEE(米国電気電子学会)が1997年に定めた無線LAN規格。2.4GHz帯の電波を使い,IEEE802.11では最高2Mbpsだったデータ伝送速度を11Mbpsにまで引き上げている。一方HomeRFは家庭内ネットワーク向け無線技術「SWAP(Shared Wireless Access Protoco)」の開発を目的に設立された業界団体。こちらも2.4GHzの帯域を利用するホーム・ネットワークの伝送規格で,IEEE 802.11をもとに開発された。HomeRFには,Intel社をはじめ,米Hewlett-Packard,米Compaq Computer,米Proximなどが参加している。

 ABI社によれば,Intel社は2.4GHz帯においては一つの標準規格が望ましいと考えている。またコスト面で802.11bの家庭ネットワークへの適応が可能になりつつあるとみている。Intel社にとっては,企業向けと家庭向けの無線への取り組みを統合することにもメリットがある。なおIntel社は,既存の1.6Mbps対応のAnyPoint製品については今後もサポートを続けていくという。

 HomeRFは,今後6~9カ月にも小売り市場においてその存在感を回復し,新たな支持者を獲得すべきだと,ABI社は指摘する。

 なおABI社は,家庭内ゲートウエイ(いわゆるレジデンタル・ゲートウエイ)と家庭内ネットワークの市場は2005年までに71億ドルに達すると予測している。

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