米IBMが米国時間10月19日に,メインフレーム「eServer z900」の強化を明らかにした。「eビジネスに不可欠である高度なインターネット・トランザクションの処理能力を2倍近くにまで高めた。毎秒3850件のトランザクション処理が可能」(IBM社)という。

 同社は,eServer z900用OS「z/OS」の最新リリース版も発表した。「Intelligent Resource Director(IRD)」を拡張し,Linuxと「z/VM」をz900上で動作可能にした。IRDは,システム・リソースを最も必要としている作業に対し自動的に振り向ける機能である。

 z/OSには,クラッカー(悪意のあるハッカー)からの攻撃と思われる挙動を検出して対処する技術を導入した。「z/OS Intrusion Detection Services」は外部から送られてくるデータを監視し,攻撃の兆候を見つけると,大量のパケットを送りつける攻撃(flooding)および過剰なサービスを要求する攻撃(DoS)に対する防御を行う。

 z900にはサーバー間で高速な情報転送を可能にするネットワーク技術「HiperSockets」を取り入れた。外部ネットワークに依存しないため,サーバーの応答性と可用性を改善すると同時に,「コスト削減とシステム内の通信の簡素化が可能」(IBM社)という。

 そのほか,z900の主な強化内容は以下の通り。

・SSL向けPCI Cryptographic Accelerator CardとSSL対応Co-processorを装備。災害時の復旧機能「Capacity Backup」を備える。

・HiperSockets,OSA Express Token-Ring,Ficon,TCP/IPといったz900の新機能に対応した「z/VMリリース4.2」。

・Fibre Channel接続技術「Ficon Express」とネットワーク接続技術「OSA-Express Token Ring」を導入。

・C++コンパイラの新版とUNIXファイル・システムに対応した「z/OS Application Portability」。z/OS上で動作するUNIXアプリケーションの移植性と性能を向上する。

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