米Jupiter Media Metrixが米国時間7月9日に,「2006年に米国におけるオンライン・ショッピングのうち,インターネット対応携帯電話機によるトランザクションの割合は全体の2%にも満たない」とする調査結果を発表した。ちなみに,米国の携帯電話ユーザーは数の上では世界で最大規模となっている。

 Jupiter社によれば,2006年におけるネット対応携帯電話機によるオンライン・ショッピングのトランザクション金額は40億ドルを下回る規模にとどまるという。

 携帯電話機を使ったオンライン・ショッピングを望んでいる人はわずか7%。ただし「ショッピング関連のコンテンツを携帯電話機でも提供することで,パソコン経由でのトランザクションや既存の小売店におけるオフラインの買い物などでの消費行動を刺激することにつながる」と指摘する。2006年の時点で,金額にして390億ドル規模の消費を促すとJupiter社は見積もる。

 「米国でmコマースが伸び悩んでいる原因としては,無線端末が十分でないことやデータ通信速度が遅いことなどが指摘されてきたが,本当の理由はそもそも消費者の関心が非常に薄いことだ」(Jupiter社アナリストのDylan Brooks氏)。

 Jupiter社によれば,米国におけるmコマースのトランザクション金額が100万ドルを超える規模となるのは2002年後半になるという。

 「キャリアやmコマース事業者は戦略の見直しが必要。まずは,米国人のあいだで無線インターネットの利用が広がるまでは,シンプルなテキスト・ベースのメッセージング・サービスやテキスト機能を備えた音声サービスなどに注力すべき。期間や時間限定のショッピング情報や位置情報ベースの販促プロモーションなどの提供がmコマースの利用を押し上げるカギとなる」(Jupiter社)。

 その他の調査結果は以下の通り。

・2001年における米国のmコマース市場はわずか2200万ドル規模。エンターテインメント関連や航空券,花,ギフトなどが今後大きく伸びる。

・2000年におけるインターネット機能対応無線端末ユーザー数は625万人。このうちmコマースを利用した人の割合はわずか1.4%で,10万人にも満たなかった。

・「無線」「オンライン・ショッピング」「カタログ販売」「オフラインの小売店販売」の連携が重要。ネット対応携帯電話機は,ユーザー認証やプロモーション,顧客関係の維持や強化などの点で,オンラインおよびオフラインの販売活動に向けた有効なツールである。

・mコマースをすでに利用した人のうち,36%がコストの面などで「不満」であると回答している。米AT&Tを除いて,低コストで無制限アクセスを提供しているキャリアはない。無線キャリアはユーザーが無料でアクセスできるショッピング・チャネルを開設すべきである。

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