フランスの通信機器大手Alcatel SAと米Lucent Technologiesは,両社の合併について両社がこれまで協議してきたことについて正式に認めるとともに,合併交渉が合意に至らず,交渉を打ちきったことを明らかにした。現地時間5月29日に両社が発表したもの。

 なお声明は交渉が合意に至らなかった事実だけを述べた短いもので,その理由については明らかにしていない。またこの件に関してこれ以上のコメントはないとしている。

 欧米の複数のメディアは5月18日に,Alcatel社がLucent社の買収に向けた協議を進めていると報じており,買収額は230億ドルなどとも言われていた。

 ウォールストリート・ジャーナルのインターネット版や米New York Times紙のオンライン版は,合併後の企業統治や経営を巡った問題が合併交渉の大きな障害となったと報じている。対等の合併を前提に交渉にあたっていたLucent社に対して,Alcatel社は同社によるLucent社の買収を考えており。この意見の違いが,交渉決裂の原因という。

 Lucent社は米国時間4月24日に,2001年1月~3月期(2001会計年度第2四半期)の決算を発表し,前年同期比で17.3%減収と37億ドルの純損失を報告していた。また1月には全従業員(10万6500人)の約10%に相当する1万人の削減などの大規模なリストラ策を発表していた。

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[lucent.comに掲載の発表資料]
[alcatel.comに掲載の発表資料]