米Microsoftが米国時間4月10日に,Windows CEの次期版「Talisker」(開発コード名)のベータ版「Beta 1」をリリースしたことを明らかにした。米サンフランシスコで開催中の組み込みシステム開発者会議「Embeded Systems Conference(ESC)」にて発表したもの。

 「Talisker」を提供するのは,ベータ版テスターの約300社。Bluetoothなどの無線ネットワークやUPnP(Universal Plug and Play),DVDなどのマルチメディアへの対応を強化している。USBのドライバもいくつか追加した。セキュリティ・プロトコル「Kerberos」やSSL(Secure Socket Layers)などセキュリティ機能の拡充も図った。

 新機能として,「ISR(installable interrupt service routine)」やユーザー・インタフェースのカスタマイズ機能などを提供する。OEM企業は開発作業やアップグレードなどを簡易化できる。

 「Talisker」正式版のリリースは2001年後半を予定している。

 Microsoft社は同日,システム・インテグレータ(SI)などにWindows 3.0のソースコードへのアクセスを認めるパートナーシップ・プログラム「Microsoft Windows CE 3.0 Innovation Alliance Program」を新設したことも明らかにした。Accelent Systems,Annasoft Systems,BSQUARE,NMI Electronics,3Soft GmbH,VenturComなどのSIがすでに参加している。

 なおソースコードについては,2月に半導体ベンダーを集めた業界団体「Windows Embedded Strategic Silicon Alliance (WESSA)」を結成しており,同団体を通じて米IntelやNECなどメンバー企業にすでに公開している

 Microsoft社は,Windows CE 3.0のサポート・パッケージ「Broad Support Package(BSP)」に,18の新サービスを追加したことも明らかにした。WWWサイトから無償でダウンロードできる。BSPはコンフィギュレーションとテスト済みのソフトウエア・パッケージで,ハードウエア参照プラットフォームとともに利用することで,OEMによる組み込み機器の設計を迅速化でき,機器の市場投入にかかる期間を短縮できる。BSPは米Advanced Micro Devices(AMD),英ARM,日立製作所,米Intel,米MIPS Technologies,米National Semiconductor,NECのアーキテクチャをベースとしている。

 Microsoft社は,Windows CE 3.0のトレーニング・プログラムも用意した。担当講師が5日間指導するコースで,開発ツール「Windows CE 3.0 Platform Builder」の使い方などについてトレーニングを行う。米国のほか,カナダ,英国,フランス,ドイツ,ベルギー,スウェーデン,チリ,台湾,インドの各地で提供する。

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