米HP(Hewlett-Packard)が米国時間2月12日に,組み込み用途向けJava仮想マシン「ChaiVM」のモバイル版である「MicrochaiVM」を発表した。

 MicrochaiVMは,携帯電話やページャ,PDA(personal digital assistants),POS(point-of-sale)端末といった機器での利用に向ける。HP社は同時に米QUALCOMMのBREW(Binary Runtime Environment for Wireless)でのMicrochaiVM実装に関して,QUALCOMM社と協力体制を敷くことも明らかにした。

 BREWは,CDMA(Code Division Multiple Access)携帯電話機向けアプリケーション開発プラットフォームである。今回の提携でHP社は,BREW対応のCDMA携帯電話機にJavaアプリの実行環境を提供することになる。

 MicrochaiVMは,携帯電話用の共通規約である「CLDC(Connected Limited Device Configuration)」に準拠する。またプロファイルは,業界標準規格のMIDP(Mobile Information Device Profile)に対応する予定である(今年後半)。またHP社は,MicrochaiVMへのソフトウエア環境の移行やカスタマイズを行う機器メーカーを支援するコンサルティング・サービスを提供する。

 MicrochaiVMの開発者向けリリースはHP社の組み込み向けソフトウエアのWWWサイト(http://www.hp.com/go/embedded)でダウンロード配布を始める。製品版は2001年第2四半期に出荷する予定である。MIDP対応のMicrochaiVM製品版は今年第3四半期の出荷を予定する。対応するOSはLinux,PalmOS,PocketPC。

 MicrochaiVMは,最小で37KバイトのROMが必要となる。CLDC対応の場合は128KバイトのROMで動作する。

 なおHP社はカード決済端末を手掛ける英Thales e-Transactions(旧名:Racal-Transcom)がMicrochaiVMを評価中であることもあきらかにした。

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