NTTソフトウェアと富士通は,携帯電話上のJavaアプリケーションから,アプリケーション・サーバー上のEJB(Enterprise JavaBeans)コンポーネントを呼び出せるシステムを共同開発した。Java搭載iモード携帯電話と,アプリケーション・サーバーを組み合わせたシステムの開発に適用できるプログラム開発者向けの製品である。この4月にも製品化する予定である。

 このシステムは,携帯電話上の厳しいメモリーの制約の中で,プログラム開発者がフルセットのJava環境に近い通信機能を利用できるようにした点が特色。システムの中核となるのは,NTTソフトウェアが開発したミドルウエア「BLUEGRID」である。BLUEGRIDは,携帯電話上のJava環境のベースとなるCLDC(Connected Limited Device Configuration)上に構築したORB(Object Request Broker)である。このBLUEGRIDのサーバー側ソフトは,EJBサーバーが利用するプログラム間通信機能である「RMI/IIOP」とのゲートウエイ機能を備える。これにより,携帯電話上のJavaプログラムが,直接EJBコンポーネントを呼び出す形態のシステムを開発できるという。

 クライアントは,「フル機能クライアント」と「503iシリーズ向けクライアント」の2種類を用意する。「フル機能クライアント」は8Kバイト程度のサイズながら,フルセット版のJava環境に搭載する「Java RMI」のようなオブジェクトの転送が可能である点が特色。ただし,8Kバイトというサイズでは,圧縮して10Kバイトという上限が規定されているiモード対応Javaに適用するには厳しい。機能を作り込めるのが2Kバイト程度になってしまうからだ。将来的に登場するMIDP(Mobile Information Device Profile。J-フォンなどが採用を予定する携帯電話向けJava環境)端末や他の携帯型情報機器など,iモードよりもプログラム・サイズに余裕があると言われるプラットフォームに向けたクライアントという位置づけである。

 一方,「503iシリーズ向けクライアント」は,iモード対応Javaのアプリケーション・サイズの制約に合わせ,サイズを2Kバイト程度に縮小した。通信機能は,メソッド呼び出しなどに絞った。

 CLDC上で稼働するBLUEGRIDは,共にCLDC上に構築してあるiモード対応JavaとMIDPという2種類の携帯電話向けJava環境に対応できる予定である。

 今回両社は,EJBサーバーとして富士通INTERSTAGEと協調動作できるようにした。富士通は,開発環境であるINTERSTAGE APWORKSも,携帯電話-アプリケーション・サーバー連携環境に向けた開発に適用できるようにしていく計画である。

 Java搭載携帯電話を対象とした通信ミドルウエアとしては,オムロンのJUMON-mini,テレマジックのkModulet,フレックス・ファームのx-ORBなどが登場している。Java搭載ケータイを業務クライアントにするための環境整備が,急ピッチで進んでいるといえる。

(日経Javaレビュー)

発表資料
BLUEGRID-ORB製品紹介ページ