移動通信関連技術の開発ベンダーである米QUALCOMMは,cdmaOne関連方式に対応した携帯電話機で様々なアプリケーションを動作させるための新プラットフォーム「BREW」を開発した。日本ではKDDIが携帯電話サービス「au」のcdmaOne方式にBREWを採用し,2001年中にBREW対応電話機を発売,同時に対応したアプリケーションやコンテンツの配信サービスを始める予定である。

 BREWとは一言で表現すると,「携帯電話機のパソコン化」を促進するものといえる。最近の移動通信サービスでは,簡易型ブラウザを使うインターネット接続サービスに始まり,液晶画面のカラー化,Java実行環境の搭載と続いている。今後はさらに音楽,ビデオ,ゲームなど大容量コンテンツの再生能力が要求され,位置情報や「Bluetooth」などの新機能に対応したアプリケーションを開発する必要に迫られている。これらの新機能を追加するたびに新端末を開発していたのでは,ユーザーの端末買い替え負担が増すばかりでなく,携帯電話メーカーは開発のマンパワーが不足し,通信事業者にとっては端末販売補助金が増大するなど問題が多すぎる。BREWを導入すれば,携帯電話機はアプリケーションをそのたびごとに追加できる「パソコン」となるため,こうした問題点が解消されると関係者は見込んでいる。

 端末メーカーにとってはBREWの導入によって,新端末の開発負荷は確かに減る。しかし,メーカーがソフトウエアの開発負荷を他社にゆだねることによって,他社と製品を差異化する要素が減り,メーカーは単純な価格競争に陥る危険性も考えられる(詳細は日経ニューメディア2001年2月5日号に掲載)。■

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