米Microsoftは2月15日,同社が欧州連合(EU)に罰金警告を受けていた件に関して,欧州委員会(EC)の判断を批判する回答書を提出した。Microsoft社は,EUの独占禁止法に違反したとして技術情報の提出を求められていたが,ECは同社が提出した技術情報が規定の必要条件を満たしていないとして罰金を警告していた。

 ECは2004年3月,Microsoft社が欧州市場におけるパソコンOSの独占的立場を悪用してサーバーOSやメディア・プレーヤを販売したと判断し,罰金のほか,競合他社がMicrosoft社製品との相互接続性を確保するために必要な技術情報の提出を命じていた(関連記事)。Microsoft社は75ページにおよぶ回答書のなかで,「大勢の社員および契約社員が3万時間以上費やして,当社がライセンスを提供している製品に関する詳細な技術文書を1万2000ページ以上も作成した」と述べる。

 また同社によると,「ECは2005年12月21日にStatement of Objectionsを発行しているが,当社が同月15日に提出した修正後の技術書に目を通してないのは明らかだ」という。同社は,「ECは当社が技術文書を提出後,何カ月も経ってから修正が必要だと通知し,修正を行うために数週間しか猶予を認めていない。当社は自身を擁護するために適正な手続きを踏む権利を拒否された」と主張している。

 これに対しECは,「Microsoft社が提出した回答書を慎重に検討する」と答えながらも,「同社が昨年12月に再提出した技術文書は,フォーマットに関する問題が若干補足されていただけで,オリジナルとさほど違いはなかった。また,技術文書が必要条件を満たしているか判断するのは,Microsoft社ではなく我々だ」と述べている(CNET News.com)。

 なお,InfoWorldの報道によれば,ECがこの判断を下すのは2006年の第3四半期になる見通しである。

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