米司法省は米国時間9月8日に,全米不動産協会(NAR:NATIONAL ASSOCIATION OF REALTORS)を独占禁止法違反で提訴したことを明らかにした。NARのポリシーが不動産仲介業者のインターネット活用を妨害し,業界の競争を制限しているというもの。

 司法省は同日,シカゴの連邦地方裁判所に訴訟を申請。「インターネット・ベースの革新的なツールを使えば,消費者により良いサービスをより低コストで提供できるにもかかわらず,NARのポリシーは,消費者が市場競争の十分な恩恵を受けることを妨げている。時代遅れのビジネス・モデルに押し込め,値引きを困難にしている」と主張した。

 司法省によると,NARはポリシーの修正を受け入れる発表を同日行ったが,「修正後のポリシーも,革新的仲介業者を差別しており,問題を解決するものではない」(司法省)。

 仲介業者は,オフィスでの手渡し,郵便,ファクス,電子メールなど,さまざまな手段で物件情報を提供している。一部の仲介業者が最近,インターネット経由の情報サービスを開始し,顧客が家庭のパソコンから,パスワード保護された不動産情報データベースにアクセスできるようにした。しかし,NARのポリシーにより,伝統的な仲介業者は競合事業者の顧客からのオンライン・アクセスを拒否できるため,インターネットでサービスを展開する仲介業者は,データベースのフル活用を顧客に提供できずにいるという。

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