世界経済に関する非営利団体の世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)は,世界104カ国における情報通信技術(ICT)の活用状況について調査した結果を,スイスで現地時間3月9日に発表した。「Networked Readiness Index Rankings(ネットワーク対応度指標)2004-2005」にまとめたランキングよると,シンガポールが初めて首位に立ち,過去3年連続して1位だった米国は5位に転落した。

 シンガポールは,「数学および科学の教育水準」「電話料金の値頃感」「政府によるICTの調達と優先度」などの項目が他国に比べ抜きん出ているほか,「インターネット接続料金の値頃感」などでも高得点を獲得している。シンガポールの好成績は,ICTの普及と活用を推進する政府の継続的な取り組み,優れた教育制度,外国技術の積極的な導入などが奏功した結果である。

 WEFによると,米国が順位を落としたのは,同国におけるICT状況が悪化したからではなく,他国が着々とレベルを上げたためだという。米国は,「科学研究所やビジネス・スクールのレベル」において,他国を圧倒的にリードしている。また,「ビジネス分野の対応度」「労働人口が研修を受ける機会」「ベンチャー・キャピタル市場の成熟度」などの項目が非常に優れている。

 北欧諸国はアイスランド,フィンランド,デンマーク,スウェーデンの4カ国がトップ10にランクインするなど,ICT分野で変わらぬ強味を発揮した。これらの国々は技術革新の実績があるほか,政府,企業,消費者が新技術の導入に強い関心を持っている。

 アジア太平洋地域では,香港と日本が初めてトップ10入りを果たした。また,インドが39位(2003年は45位),中国が41位(同51位)と大きく順位を上げている。東欧および中欧諸国ではエストニア共和国が25位に,中南米諸国ではチリが35位につけた。

■ネットワーク対応度指標ランキングの上位25カ国

1 シンガポール       1.73
2 アイスランド       1.66
3 フィンランド       1.62
4 デンマーク         1.60
5 米国               1.58
6 スウェーデン       1.53
7 香港               1.39
8 日本               1.35
9 スイス             1.30
10 カナダ            1.27
11 オーストラリア    1.23
12 英国              1.21
13 ノルウェー        1.19
14 ドイツ            1.16
15 台湾              1.12
16 オランダ          1.08
17 ルクセンブルク    1.04
18 イスラエル        1.02
19 オーストリア      1.01
20 フランス          0.96
21 ニュージーランド  0.95
22 アイルランド      0.89
23 アラブ首長国連邦  0.84
24 韓国              0.81
25 エストニア共和国  0.80

出典:World Economic Forum

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