ITU(国際電気通信連合)は,世界各国の情報通信技術(ICT)へのアクセス状況を評価した「デジタル・アクセス指標(DAI:Digital Access Index)」を,米国時間11月19日に発表した。それによると,上位10カ国はカナダを除き,アジアや欧州の国々が占めた。米国が11位になったほか,韓国が4位に入ったことが注目に値する。

 DAIは,「インフラの可用性」「経済的観点からみたアクセスのしやすさ」「教育レベル」「ICTサービスの品質」「インターネットの普及率」の5分野・8項目について調査し,ICTの導入と利用状況の度合いをランク付けしたもの。世界178カ国を対象に実施し,DAIにもとづいて各国をデジタル・アクセス度が「最も高い」「高い」「中程度」「低い」の4グループに分類した。

■2002年DAI指標に基づいた上位25カ国(「最も高い」グループ)

1. スウェーデン      0.85
2. デンマーク        0.83
3. アイスランド      0.82
4. 韓国              0.82
5. ノルウェー        0.79
6. オランダ          0.79
7. 香港(中国)      0.79
8. フィンランド      0.79
9. 台湾 (中国)     0.79
10. カナダ            0.78
11. 米国              0.78
12. 英国              0.77
13. スイス            0.76
14. シンガポール      0.75
15. 日本              0.75
16. ルクセンブルグ    0.75
17. オーストリア      0.75
18. ドイツ            0.74
19. オーストラリア    0.74
20. ベルギー          0.74
21. ニュージーランド  0.72
22. イタリア          0.72
23. フランス          0.72
24. スロベニア        0.72
25. イスラエル        0.70

注:DAIは0~1の数値で評価。1が最も高い。

出典:ITU

 韓国,台湾,香港,シンガポールのICTは,過去4年間に最も大きな進歩を遂げている。ITUでは,「コンテンツがさまざまな国の言語で提供されるようになり,新しい技術の導入に英語が果たす役割は縮小している」と分析する。

 また,「高い」グループには主として,欧州中部,欧州東部,カリブ海沿岸諸国,湾岸諸国,中南米諸国などが含まれる。これらの国々は,政府がICT向上を図るさまざまなプロジェクトを推進していることから,ICTが近年,大幅に向上している。

 ITU,Market, Economics and Finance部門担当のMichael Minges氏は,「これまで,IT格差を決定づける最も大きな要素はインフラ整備だと考えられていた。しかし調査から,インターネットにアクセスするためのコストや教育レベルも,同じくらい重要であることがわかった」と指摘する。

 例えば,「中程度」のペルーでは約40%が,経済的な理由からインターネットへアクセスしたり,コンピュータを所有できないでいる。

 デジタル・アクセス度が「低い」と分類された多くの国は,アフリカの中でも開発が遅れている地域だった。米メディア(InformationWeek)の報道によれば,Minges氏は「低い」グループについて「インフラ整備がほとんど進んでいないばかりか,教育を受けられる人々も限られている。またインターネットへ接続するためのコストも非常に高額だ。これらの国でICTを改善するのは非常に困難だろう」と述べた。

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