「世界的な景気後退にもかかわらず,インターネット人口は着実に増加している。2002年末には世界のインターネット人口が6億人を超え,オンライン支出が1兆ドル以上に達する」。米IDCが米国時間2月12日に,世界におけるインターネットの普及状況に関する調査結果を発表した。

 かつてインターネット・ユーザーは似たようなバックグラウンドを持っていたが,現在は年齢,学歴,職種,国籍もさまざまである。インターネット接続を行える機器も以前はパソコンに限定されていたが,今はインターネットTV,Palm PilotのようなPDA(携帯情報端末),携帯電話など,選択の幅が広がっている。ユーザーがどの接続方法を選ぶかは,技術的な嗜好や居住国の政策を反映しているという。

 「インターネットは世界各国の差異を標準化するのではなく,オフラインの世界に存在する地理,文化,経済,政治などの状況の違いを,そのままモザイク状に反映するようになった。企業がインターネットをビジネスに利用して,この“インターネット・モザイク”の恩恵を享受するには,各国におけるインターネットの利用法の違いや複雑な様相を理解する必要がある」(IDC,Global Research Organizationプログラム部門副社長のCarol Glasheen氏)

 2001年における電子商取引の世界市場は,景気減退や不安定な政治状況にもかかわらず2000年から68%成長し,6000億ドル以上の規模に拡大した。2002年には,電子商取引市場が1兆ドルを超える,とIDCは予測する。各地域ともに堅調な伸びをみせるが,成長を後押しする要因は地域や国ごとに異なるという。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・インターネットは米国文化の一部になっている。2006年には,米国人口の約80%がインターネットを1カ月に1回以上利用する。

・カナダのインターネット普及率は,2006年に80%に達する。その半分以上がオンラインで商品を購入する。

・中南米は米国経済の回復を待っている状態だ。同地域における情報経済の発展は,公共および民間の事業によって促進される。

・西欧における通貨統一は,価格設定の透明化と競争をもたらし,オンラインのサービスや製品の向上を招く。

・チェコ共和国,ハンガリー,ポーランドでは,ITベンダーの製品をディストリビュータや再販業者がWWWベースのシステムを利用して発注できるようになりつつある。

・南アフリカ共和国では,インターネットを日常的に利用するアクティブ・ユーザーが約230~260万人いる。そのうち3分の2は,「上」レベルの生活水準に属している。

・アジア太平洋地域では携帯電話の利用者数が多い。しかしモバイル・コマース(mコマース)が,潜在的な可能性を発揮するまでには時間を要する。

・日本ではIT環境の変化が進むなか,インターネット利用者が急増している。日本人はオンライン・セキュリティに関して最も神経質だが,オンライン・ショッピングを楽しむユーザーが着実に増えている。

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