米GartnerのDataquestは米国時間4月16日に,中南米と米国との情報格差が広がっているとする調査結果を発表した。国あるいは地域内の電話普及率,ネットワーク環境,社会的および経済的最下層による技術の利用状況といった要素を含む。

 インターネットを通じて提供される高度なサービスだけでなく,基本的な電話サービスでも格差は広がっているという。

 中南米の主要国では電話の普及率と広帯域接続の利用者数がいずれも,米国に大きく後れを取っている。米国では100人のうち80人が電話回線をひいているのに対し,中南米で電話普及率トップのチリでも100人のうちわずか25人である。広帯域接続は利用が始まったばかりで,すべての国で利用されているわけではない。この差は時間とともに拡大している。

 「中南米諸国の政府は,通信事業者がサービス対象外地域や対応の遅れている地区にサービスを提供し,既存のネットワークをアップデートするよう後押しする必要がある。市内ダイヤル通話の規制を緩和すべきときがきた」(Dataquest社の Worldwide Telecommunications and Networkingグループ主席アナリストのRon Cowles氏)。

 「広帯域接続インフラの不足と低調なコンシューマ向け電子商取引(EC)は,ちょうど“ニワトリと卵”の関係に陥っている。広帯域接続を行っている消費者は,中南米で最も進んでいるブラジルで5万3000世帯に過ぎない。米国では600万世帯を超える」(上級アナリストのMarta Kindya氏)。

■中南米の電話普及率と広帯域接続利用者数

2000年の電話普及率(%) 2000年の広帯域利用者数(人)
アルゼンチン 23.1 38,000
ブラジル 19.8 53,000
チリ 24.5 22,000
コロンビア 22.4 0
メキシコ 13.3 20,000
ペルー 7.9 0
ベネズエラ 15.3 0
その他の中南米諸国 17.3 0
米国 80.0 6,008,730

出典:Dataquest社 (2001年4月)

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