米J.D. Power and Associatesは,無線事業者に対する顧客満足度について調査した結果を米国時間9月7日に発表した。それによると,事業者間の合併や各種規制プログラムの施行といった業界の変動が影響し,ユーザーの満足度は前年と比べ10%減少したという。

 調査は,米国の無線ユーザー約2万4000人を対象に実施したもの。米国6地域において,各事業者の通話の品質と信頼性,顧客サービス,サービス・プランの充実度,ブランド・イメージ,サービス利用料金,請求業務について尋ねた。

 ユーザーの評価が最も高かったのはドイツT-Mobile Internationalの米国法人T-Mobile USA。サービス・プランの充実度,サービス利用料金,請求業務などの項目で他社を引き離し,6地域すべてにおいて首位に立った。2位は通話品質とブランド・イメージが評価された米Verizon Wireless。なお,Verizon Wireless社は4地域でT-Mobile社と首位タイだった。

 2004年には米Cingularと米AT&T Wirelessが合併したほか,今年8月には米Nextelと米Sprintが合併を完了している。「過去の事例をみる限り,合併は混乱や不透明感を招き,少なくとも短期的にはユーザーの評価に悪影響を及ぼすことが分かっている」(同社)

 前年と比べ,全体的な評価が最も減少したのはNextel社とSprint社だが,合併を行っていない事業者も全般的に評価が下がっているという。

 J.D. Power社無線サービス担当上級ディレクタのKirk Parsons氏は,「業界における力関係が変化したことで,今後12カ月間に事業者を乗り換えたいと考えるユーザーが増えている。過去2年間は乗り換えたいというユーザーが横ばいだったが,2005年は前年と比べ5%増加した」と指摘した。

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